LLMOとブランドの相関を
調査データで検証する
AI検索に自社の名前を出すうえで、まず大前提になるのは、情報が充実した、信頼できる良質なサイトであることです。中身の薄いサイトが、テクニックだけで選ばれることはありません。
そのうえで、何が効くのか。この問いには、構造化データやllms.txtのような技術的な施策を思い浮かべる方が多いはずです。ただ、Googleが公開した生成AI検索の最適化ガイドでも専用ファイルや特別なマークアップは不要とされています。複数の事業者の調査からは、AI検索での表示をより強く左右しているのは、そうした技術要素よりも、ブランドそのものの強さを表す指標ではないか、という可能性が見えてきました。
LLMO(大規模言語モデル最適化:Large Language Model Optimization)とは、ChatGPTやGoogleのAI Modeのような大規模言語モデルを使ったAI検索で、自社やその商品が回答に表示・引用されやすいように整える取り組みを指します。検索結果での順位を上げる従来のSEOに対し、AIの回答そのものに名前を出すことを目的とします。GEO(Generative Engine Optimization)やAIOとほぼ同じ意味で使われます。
LLMO・GEO・AIOの違いは、GEO・LLMO・AIOの違いとは?AI検索最適化とSEOの関係で詳しく整理しています。
- Ahrefsの75,000ブランド調査では、AI検索での表示は、ブランドへのweb言及や指名検索と最も強く相関し、被リンクを上回りました
- 詳しく、信頼できるサイトであることが前提です。そのうえでAI(ChatGPT、Claude、Geminiなど)検索での表示は、ブランドの強さに左右されます。観測されたのは相関で、因果ではありません
- 良質なサイトという土台に加えて、ブランドの評判を積み上げる発想がいっそう重要になってきています
01.LLMOとブランディングは相関するのか
まず、ユーザーの動きが変わってきました。これまで人は、検索結果に並んだリンクを自分で開いて比較していました。AI検索では、会話で要望を伝えると、AIが候補のブランドとその理由を直接回答します。比較検討の多くが、AIの回答の中で完結するようになりました。
- リンク1を開いて情報収集
- リンク2を開いて情報収集
- リンク3を開いて自分で比較検討
- 候補となるツールと、それぞれの特徴
- 料金や向き・不向きの整理
この変化は数字にも表れています。米国のEC専門メディアDigital Commerce 360がPrime Day前後に報じた調査では、オンラインでの買い物中のリサーチに、回答者の40.9%がChatGPTを、44.8%がGoogle Geminiを使っていました。生成AI経由のサイト流入そのものは、BrightEdgeの計測ではまだ全体の1%未満にとどまります。それでも、購買前の比較検討でAIに相談する動きは、着実に広がっています。AIの回答に名前が挙がるかどうかが、見つけてもらえるかどうかを左右し始めています。
では、AI検索に表示されるかどうかは、何で決まるのでしょうか。多くの担当者は「LLMOはSEOの延長で、技術的な最適化を積み重ねれば届く」と考えます。しかし各社の調査データを見ると、この仮説だけでは説明しきれません。
各社の調査が共通して指していた要因は、サイトの外側でブランドがどれだけ語られているかを表す「ブランド指標」です。具体的には次の3つです。
- ブランドへのweb言及:他サイトの本文でブランド名が触れられた回数。リンクが張られているかは問いません
- ブランドアンカー:他サイトからのリンクのうち、リンク文字列にブランド名が含まれるもの
- 指名検索ボリューム:ブランド名そのもので検索された月間の回数
02.ブランド指標とAI検索表示はどれだけ相関するのか
Ahrefsは、AI表示計測ツール「Brand Radar」のデータを使った調査を公開しています。75,000のブランドについて、Google AI Overviewsでの表示と各指標の相関を調べたものです。順位相関(スピアマンの順位相関係数)で見ると、上位はいずれもサイトの外側のブランド指標でした。
AI Overviewsでのブランド表示と各指標の相関(スピアマンの順位相関係数)
Ahrefsが75,000ブランドで算出。この4指標に加え、YouTube言及はこれより高い(後述)。1に近いほど強い相関
- ブランドへのweb言及0.664
- ブランドアンカー0.527
- 指名検索ボリューム0.392
- 被リンク0.218
注目したいのは、被リンクの相関(0.218)が、ブランドへのweb言及(0.664)より明確に低い点です。従来のSEOでは、被リンクは評価を左右する強い要因とされてきました。ところがAI検索での表示に関しては、リンクが張られていなくても、ブランド名が言及されていること自体のほうが強く相関しています。
この相関は、小さなサンプルから出た数字ではありません。AhrefsのAI表示計測(Brand Radar)は、5つのAIで合計1.4億件を超えるプロンプトをもとにブランドの言及を集計しており、相関分析もこのデータ基盤に基づいています。AIごとの計測の母数は次のとおりです。
| AI | 計測対象のプロンプト数(概数) |
|---|---|
| AI Overviews | 約1億550万件 |
| Perplexity | 約1,290万件 |
| Copilot | 約1,170万件 |
| ChatGPT | 約870万件 |
| Gemini | 約370万件 |
数値は公開時点のもので、現在も拡大しています。膨大なプロンプトをAIに投げて回答を集める作り方のため、特定の質問に偏らない幅広いデータから相関を見られる点が、この調査の強みです。
相関係数の大きさをどう読むかは、相関分析の基礎を整理した記事もあわせてご覧ください。
相関分析の基礎|ピアソン・スピアマン相関係数と『相関≠因果』の見抜き方
相関係数の意味、ピアソンとスピアマンの使い分け、相関を因果と取り違えないための注意点を整理しています。
03.ChatGPT・AI Modeや他社の調査でも同じか
Ahrefsはその後、対象をGoogle AI OverviewsだけでなくChatGPTとGoogle AI Modeにも広げ、同じ75,000ブランドで相関を比べています。AIごとに値の大小はありますが、ブランド指標が上位に来る傾向は共通していました。
図のとおり、Googleが提供するAI Modeは、従来のブランド指標との相関がChatGPTやAI Overviewsより一貫して強く出ています。一方ChatGPTは、3つの指標の中では指名検索ボリューム(0.352)との相関がやや弱めでした。AIによって、重視するブランド指標には差があります。
この調査でもう一つ目立ったのが、YouTube上での言及です。動画はテキストではありませんが、3つのAIのどれでも最も強い相関を示しました。その水準は、いずれもおおむね0.7台です。Googleの2つのAIだけでなく、OpenAIのChatGPTでも同じ強さで、プラットフォームを問わない傾向でした。動画の場でも、ブランドがどれだけ語られているかがAI検索での表示に結びついています。
出典は次の2本です。AI別の数値はこちらで確認できます。
- Ahrefs「Top Brand Visibility Factors in ChatGPT, AI Mode, and AI Overviews」
- Ahrefs「Google Seems More Biased Towards Big Brands Than ChatGPT and Perplexity」
同じ方向の結果は、Ahrefs以外の独自調査でも得られています。マーケティング会社のSeer Interactiveは、SaaSと金融に関する約10,000の質問をChatGPT(GPT-4o)に投げ、ブランドがどう言及されるかを分析しました。Googleの検索結果1ページ目に入っていることとLLMでの言及には約0.65の相関が見られ、指名検索を含むブランド指標が上位の要因に並びました。一方で被リンクの影響は弱く、ここでもAhrefsと同じ傾向でした。
SemrushのAI Visibility Indexも、2億件を超えるLLMプロンプトをもとに、ChatGPT・Google AI Mode・Perplexity・Geminiでのブランドの言及と引用を計測しています。算出方法はAhrefsやSeerと異なりますが、ブランド指標が上位に来るという結論は共通していました。複数の事業者が別々の方法で調べても同じ方向に出ることが、この相関の確からしさを支えています。
04.この相関は、なぜ因果を意味しないのか
「ブランドへの言及を増やせばAI検索に出る」と読みたくなります。しかし、観測されているのはあくまで相関で、言及を増やせば表示が増えるという因果が証明されたわけではありません。ここを取り違えると、施策の方向を誤ります。
より自然なのは、ブランド言及とAI検索での表示がどちらも、ブランドの実際の知名度や評判という共通の要因から生まれていると見る解釈です。世の中で広く使われ、語られているブランドは、結果として言及も多く、AIにも挙げられやすくなります。言及は、その表れの一つにすぎません。
相関が強いからといって、第三者サイトに機械的にブランド名をばらまく、指名検索を不正に水増しする、といった操作は逆効果になりかねません。AI検索の側も、操作を狙った大量生成をそのまま評価しないように作られており、この考え方はGoogleのスパムポリシーとも重なります。
もう一つ、言及されることと、AIが根拠として引用することは別だという点も見落とせません。SemrushのAI Visibility Indexによると、よく言及されるブランドでも、AIが出典として引用するブランドは全体で5社に1社未満でした。その割合は、業種やAIによって6〜27%とばらつきます。名前が挙がること(メンション)と、根拠として引かれること(引用)は、分けて見る必要があります。根拠として引用されるには、その分野での専門性や信頼性、いわゆるE-E-A-Tが問われます。
さらに、AIはブランドを肯定的にだけ扱うとは限りません。BrightEdgeの分析によると、Google AI Overviewsは、ChatGPTのおよそ1.4倍の頻度でブランドに批判的に言及していました。語られる量だけでなく、どう語られているかまで見る必要があります。
AIごとに、大手ブランドへの偏りの強さも違います。前掲のAhrefsの分析では、Googleのほうが大手ブランドに寄りやすく、ChatGPTやPerplexityは相対的にその偏りが弱い傾向が示されています。無名のブランドにとっては、どのAIを相手にするかで難易度が変わります。
05.相関を踏まえて、どのブランド指標に投資するか
詳しく、信頼できるサイトであることは、これまでどおり前提です。そのうえでAI検索では、サイトの外側でブランドがどれだけ語られているかが効いてきます。プロンプトの需要は外から読めず、上位表示のテクニックだけでは届きません。だから投資の範囲も、ページ単位の調整に閉じず、ブランドがどう語られるかの評判の積み上げへと広がります。
ページ単位の工夫が無意味なわけではありません。Princeton大学などの研究「GEO: Generative Engine Optimization」では、引用や統計を本文に加えると生成AIでの表示が最大40%高まると報告されています。良質なコンテンツという土台があってこそ、サイト外の評判も活きてきます。
相関の高かったブランド指標ごとに、具体的な打ち手は次のとおりです。
| 高めたいブランド指標 | 具体的な打ち手の例 |
|---|---|
| 第三者からのweb言及(最も相関が強い) | 業界メディアへの寄稿・取材対応、プレスリリースでの公式発表、カンファレンス登壇・ウェビナー、ポッドキャスト出演 |
| YouTubeでの言及(相関が最も高かった面) | 自社チャンネルでの発信、第三者にレビュー・解説動画で取り上げてもらう機会づくり |
| 指名検索(ブランド名での検索) | 認知を広げる広告・SNS・PR、覚えやすく一貫したブランド名と呼称の統一 |
| 出典として引用されること | 自社調査・統計・業界ベンチマークなど、引用したくなる独自データの公開 |
| エンティティとしての一貫性 | Wikipedia・Wikidataの整備、会社情報や説明文・呼称の統一、機械に会社情報を伝える構造化データ(Organization)の設定 |
自社ブランドが特定の話題といつも一緒に語られる状態をつくれると、AIにも「その話題ならこのブランド」と扱われやすくなります。
コンテンツ面では、鮮度も効きます。Ahrefsが約1,700万件の引用を分析した調査では、AIが引用するURLの平均は約1,064日(約2.9年)で、検索結果の約1,432日より25.7%新しいものでした。とくにChatGPTは、検索結果より458日新しいコンテンツを優先的に引用していました。日付だけを変える更新では足りません。最新の事実やデータを反映した中身の改善を続けることが、引用され続ける条件です。
そして、積み上げた結果がAIにどう反映されているかを、継続的に監視します。順位や流入という従来のSEO指標では見えない「AIにどう扱われているか」を、次の4つの面で見ます。
特定のカテゴリや質問で、自社ブランドがAIの回答に登場する頻度を測る
単なる言及か、推奨・引用かなど、どのような文脈で扱われているかを見る
同業他社と比べた相対的なポジションと、市場での優位性を把握する
AIが示す自社情報に、誤りやネガティブな偏りがないかを継続的に確認する
- ✓ 自社が強くなりたいカテゴリ・話題を一つに絞れているか
- ✓ 専門メディアや第三者からブランドが言及される機会をつくれているか
- ✓ ブランド名が出る文脈が、読者にとって自然で価値のあるものか
- ✓ 公開済みのコンテンツを、実質的な内容の改善で新鮮に保てているか
- ✓ 指名検索の推移や、AI検索での表示を定点観測する仕組みがあるか
- ✓ AI経由の流入の規模をGA4の「AIアシスタント」チャネルで継続的に見ているか
AI検索で名前が挙がるためのブランド言及づくりを、一緒に設計しませんか?
TANTOUでは、取材設計から独自性の高いコンテンツ制作、第三者メディアでの言及づくり、公開後のAI表示・指名検索の計測まで、御社と共同で設計し、データドリブンで伴走します。
06.SEOツールはブランド可視性をどう計測しているのか
主要なSEOツールは、AIの回答にブランドがどう出ているかを計測する機能を相次いで追加しています。検索順位を追うのと同じ感覚で、AI検索での「表示シェア」を見られるようにする動きです。本記事で引用してきた数値も、その多くはこうしたツールの計測に基づいています。
| ツール | 計測できること | 対応するAI(公表ベース) |
|---|---|---|
| Ahrefs(Brand Radar) | ブランドの言及頻度・言及シェア・競合比較 | ChatGPT・Gemini・AI Overviews・Perplexity・Copilot |
| Semrush(AI Visibility) | 言及・引用・言及シェア・出典の把握 | ChatGPT・Google AI Mode・Perplexity・Gemini |
| BrightEdge | ブランドの表示・引用傾向、業種別の比較 | ChatGPT・Google AI Mode など |
いずれも新しい領域で、計測の対象プロンプトや算出方法はツールごとに異なります。数値は絶対値として比べるより、同じツールでの推移や、競合との相対差で見ます。AIの回答内での見え方に加えて、実際にサイトへ来た流入をGA4の「AIアシスタント」チャネルで補えば、全体像をつかみやすくなります。
外部ツールに加えて、Google自身もSearch Consoleの生成AIパフォーマンスレポートで、AI検索での表示回数の提供を始めています(現状は一部サイト限定)。Google公式の一次データと外部ツールの相対比較を重ねると、ブランド可視性の動きをより確かに追えます。
07.よくある質問(FAQ)
LLMOとSEOは、結局同じことをすればいいのですか?
やること自体は重なりますが、目的と成果の出方が違います。SEOと共通なのは、次のような作業です。
- 必要な情報をWebに置く
- クロールできる状態を保つ
- 分かりやすく書く
一方、AI検索での表示はブランド指標との相関が強く、検索ボリュームのような明確な物差しもありません。重要キーワードで上位を取れば勝てたSEOに対し、LLMOはブランドがどう語られるかまで考えます。ただし、質の高いコンテンツが土台である点は、どちらも変わりません。
ブランドへの言及を増やせば、AI検索に必ず表示されますか?
必ずとは言えません。観測されているのは相関で、言及を増やせば表示が増えると確かめられたわけではないためです。ブランド言及とAI検索での表示は、ブランドの実際の評判という共通の要因から生まれていると見るのが妥当です。評判が伴ってこそ、言及も表示も増えていくと考えられます。
BtoBの無名ブランドでも、LLMOで勝てる余地はありますか?
あります。AhrefsのデータではGoogleのAI機能のほうが大手ブランドに寄りやすく、ChatGPTやPerplexityは相対的に偏りが弱い傾向が示されています。AIによって難易度は変わりますが、ニッチな領域で、特定の話題と結びつけて一貫して語られる状態を積み上げれば、無名のブランドでも表示の余地は生まれます。やみくもに広げず、強みのある話題で言及を重ねていくとよいでしょう。
LLMOの効果は、どう測ればいいですか?
一定のプロンプトで継続的に計測すれば、効果は追えます。Brand RadarやSemrushのようなツールでAI検索での表示や言及シェアを定点観測する、指名検索ボリュームの推移を追う、といった指標を組み合わせます。AI経由の流入はGA4の「AIアシスタント」チャネルでクリック単位まで測れるので、コンバージョンまで含めて追えます。表示と流入の両面を継続的に見れば、施策の効果を捉えられます。
被リンクはもう要らないということですか?
そうではありません。AI検索での表示に関しては、被リンクよりブランドへの言及のほうが相関が強かった、というのが各社の調査の示すところです。被リンクが無意味になったわけではなく、従来のSEOでは引き続き重要です。AI検索の文脈では、リンクという形式にこだわらず、リンクの有無を問わずブランドが語られている状態をつくることに価値がある、と理解するのが正確です。
08.まとめ
ChatGPT・AI Mode・AI Overviews、そしてSeer InteractiveやSemrushといった複数の独立した調査が、そろって同じ方向を指していました。AI検索での表示は、被リンクのような従来の指標よりも、ブランドへの言及や指名検索といったブランド指標と強く相関していました。
ブランド言及とAI検索での表示は、ブランドの評判という共通の要因から生まれていると見るのが自然です。AI(ChatGPT、Claude、Geminiなど)検索で選ばれる土台は、詳しく、信頼できるサイトであることです。そのうえで、サイト外での評判を地道に積み上げることが効いてきます。

