サンキーダイアグラムとは
売上が原価と利益にどう分かれるか、サイトに来た人がどこで離脱しどこで申し込みに至るか——こうした「量の流れ」は、円グラフや棒グラフでは表しきれません。流れを1枚で見せるのに向くのが、サンキーダイアグラムです。
本記事では、サンキーダイアグラムの仕組みと読み方、代表的な用途、専用ツール・Excel・コードでの作り方、作成時の注意点までを、初心者向けに整理します。記事内で紹介する無料ツールを使えば、項目と数値を書くだけで実際に1枚作れます。
サンキーダイアグラム(Sankey diagram、サンキー図)は、ものやお金、エネルギー、人などの量の流れを帯(矢印)の太さで表すグラフです。帯が太いほど流れる量が多く、枝分かれや合流をたどることで「どこからどこへ、どれだけ流れたか」が一目で分かります。
01.サンキーダイアグラムとは
サンキーダイアグラムは、流れの量を帯の幅で表現する図です。左から右(または上から下)へ向かって、出発点から到達点まで帯が伸び、途中で枝分かれしたり合流したりします。各段階で帯の幅の合計が保たれるため、全体の量と内訳を同時に読み取れるのが特徴です。
名前は、19世紀末にこの図を使ったアイルランド出身の技術者マシュー・H・P・R・サンキー(Matthew Henry Phineas Riall Sankey)に由来し、もとは蒸気機関のエネルギー効率(どれだけが有効に使われ、どれだけが損失になったか)を示すために用いられました。ナポレオンのロシア遠征を描いたシャルル・ミナールの図など、近い発想の古典もよく知られています(ウィキペディア「サンキー・ダイアグラム」)。今日では、エネルギー収支だけでなく、お金・人・データの流れを見せる用途に広がっています。
02.構成要素と読み方(ノード・リンク・フロー)
サンキーダイアグラムは、主に「ノード」と「リンク」の2つでできています。読み方の基本を押さえると、どんな図でも迷わず読めます。
| 要素 | 意味 | 見方 |
|---|---|---|
| ノード | 流れの出発点・経由点・到達点(項目) | 縦の棒で表される。例:給与・生活費・貯蓄 |
| リンク(フロー) | ノードからノードへの量の流れ | 帯で表され、太さが流れる量を示す |
| 帯の太さ | 流れる量の大きさ | 太いほど量が多い。複数を比べる手がかり |
読むときは、まず左端(出発点)のノードから始め、帯をたどって右へ進みます。1つのノードから複数の帯が出ていれば、その量が枝分かれして配分されたことを意味します。逆に複数の帯が1つのノードに集まれば、合流して合計になったことを示します。各ノードでは、入ってくる量の合計と出ていく量の合計がつり合うのが基本です。
03.どんなときに使うか(代表的な用途)
サンキーダイアグラムは、入りと出が枝分かれ・合流する「量の流れ」を見せたいときに力を発揮します。ビジネスでよく使われる例を挙げます。
| 分野 | 可視化する流れ | 読み取れること |
|---|---|---|
| 家計・予算 | 収入から各支出・貯蓄への配分 | どこに多く使っているか、貯蓄に回せている量 |
| 会計(PL・CF) | 売上から原価・販管費・利益への内訳 | 利益がどの段階で削られているか |
| Web・マーケティング | 流入元から訪問・離脱・コンバージョンへの流れ | どのチャネルが成果につながっているか |
| エネルギー・資源 | 投入エネルギーから利用・損失への配分 | どこで損失が大きいか |
| 人・組織 | 部署間の異動や採用・退職の流れ | 人がどこへ移動しているか |
内訳の割合だけなら円グラフや帯グラフで十分です。サンキーダイアグラムが向くのは、売上→利益→営業利益のように多段で枝分かれする経路を、合計を保ったまま1枚で見せたいときです。流れの構造そのものがメッセージになる場面で選びます。
財務諸表の可視化(PL・CF)
ビジネスでとくによく使われるのが、財務諸表の可視化です。損益計算書(PL)なら、売上高が売上原価と売上総利益に分かれ、さらに販管費と営業利益へ枝分かれする流れを1枚で表せ、利益がどの段階で削られているかが一目で分かります。キャッシュフロー(CF)や資金の流れも得意で、営業活動や借入で得た資金(源泉)が、設備投資や現金の増加(運用)へどう向かったかを、合計を保ったままたどれます。
一方、貸借対照表(BS)の残高そのものの推移(時系列の変化)は、時間軸を持たないサンキーダイアグラムには向かず、積み上げ棒グラフやウォーターフォール図が適しています。ただし、期首から期末への増減を「資金の源泉と運用」として整理すれば、2時点間の資金の流れとして描けます。その場合、残高の減少は源泉・運用それぞれのプラスの流れに振り分けて表します。
04.サンキーダイアグラムの作り方
作り方は大きく3通りあります。手早く1枚作るのか、定型レポートに組み込むのかで選ぶと無駄がありません。
| 方法 | 向いている場面 | 例 |
|---|---|---|
| 専用の作図ツール | 項目と数値だけで手早く1枚作る | ブラウザで動く無料ツールなど |
| 表計算ソフト | 既存のデータから定期的に作る | Excel・Googleスプレッドシートのアドオン |
| コード | システムやレポートに組み込む | PythonのPlotly、JavaScriptのD3.js |
いちばん手軽なのは、項目と数値を書くだけで描ける専用ツールです。弊社サイトでも、ブラウザだけで完結する無料のサンキーダイアグラム作成ツールを公開しています。次のように「元 [数値] 先」の形式で流れを1行ずつ書くと、その場で図になります。
- 1流れを書き出す
「元 [数値] 先」の形式で、流れを1行ずつ書く。例:給与 [30] 生活費。
- 2枝分かれを足す
同じ元から複数の先へ、複数の元から同じ先へも書ける。合計が合うように数値を入れる。
- 3色や配置を整える
ノードの色や図の幅・高さを調整し、伝わりやすい見た目にする。
- 4画像で書き出す
SVGまたはPNGでダウンロードする。背景透過のPNGにも対応。
下のエディタで実際に作れます。上のサンプル(家計・PL・CF・サイト流入・エネルギー)から選ぶか、「元 [数値] 先」の形式で書き換えてください。色や幅を整えたら、SVG・PNGでダウンロードできます。入力はすべてブラウザ内で処理され、サーバーには送信されません。
色を変える: :給与 #2563eb / コメント: // 以降は無視されます。
同じツールは専用ページでも使えます。ブックマークしておくと、次に作るときにすぐ開けます。
サンキーダイアグラム作成ツール(無料・日本語)
「元 [数値] 先」と書くだけで、量の流れを帯の太さで可視化。色変更・背景透過に対応し、SVG・PNGでダウンロードできます。
05.作成時の注意点
サンキーダイアグラムは情報量が多い分、作り方しだいで見づらくもなります。次の点を押さえると、伝わる1枚になります。
- ✓ 各ノードで、入ってくる量と出ていく量の合計を合わせる
- ✓ 流れは一方向にする(A→B→A のような循環は描けない)
- ✓ ノードや帯が多すぎるときは、主要な流れに絞る
- ✓ 色は意味のまとまりごとに使い、数を増やしすぎない
- ✓ 単位(円・人・kWhなど)を凡例やタイトルで明記する
循環する流れは表せない
サンキーダイアグラムは、量が一方向に流れていく構造を前提としています。A→B→A のように流れが循環すると、帯の向きが定まらず描けません。循環を含むデータを見せたい場合は、対象期間を区切って一方向の流れに整理するか、別のグラフ(状態遷移図など)を検討します。
06.よくある質問(FAQ)
サンキーダイアグラムとは何ですか?
ものやお金、エネルギー、人などの「量の流れ」を、帯(矢印)の太さで表すグラフです。帯が太いほど流れる量が多いことを示し、どこからどこへ、どれだけ流れたかを一目で伝えられます。家計の収支、損益計算書の内訳、サイト流入から離脱・コンバージョンまでの流れなど、入りと出が枝分かれする構造の可視化に向きます。
サンキーダイアグラムは何で作れますか?
大きく3通りあります。1つ目は、項目と数値を入力するだけで描ける専用の作図ツール。2つ目は、ExcelやGoogleスプレッドシートのアドオン・拡張機能。3つ目は、PythonのPlotlyやJavaScriptのD3.jsなどのコードです。手早く1枚作るなら専用ツール、定型のレポートに組み込むなら表計算やコードが向きます。弊社サイトでも、ブラウザだけで使える無料の作成ツールを公開しています。
円グラフや棒グラフと何が違うのですか?
円グラフや棒グラフは「ある時点の割合や大きさ」を表すのに対し、サンキーダイアグラムは「量がどこからどこへ動いたか」という経路を表します。たとえば売上が原価と利益に分かれ、利益がさらに販管費と営業利益に分かれる、といった多段の枝分かれを1枚で見せられるのが特徴です。割合だけでなく、流れの構造そのものを伝えたいときに使います。
07.流れの可視化を、分析の現場で活かす
サンキーダイアグラムは、割合や大小では伝わらない「量の経路」を1枚で見せられる、強力な可視化です。一方で、どの流れを主役にするか、どこまで枝分かれを描くかという編集判断が、伝わりやすさを左右します。まずは身近な収支やサイト流入で1枚作ってみると、感覚をつかみやすいでしょう。グラフ全体の選び方は、別記事で目的別に整理しています。
データ分析のグラフの種類と使い分け一覧|目的別の選び方早見表
比較・推移・割合・分布・相関・流れという目的から、棒・折れ線・円・散布図などの代表的なグラフを選ぶ早見表です。
弊社では、AIをフル活用したデータ分析・可視化の支援を行っています。指標の設計やデータ整備から、意思決定につながるグラフ・ダッシュボードづくりまで伴走します。お気軽にお問い合わせください。
データを「伝わる形」にする支援をしています
弊社では、AIをフル活用したデータ分析・可視化・レポーティングの支援を提供しています。指標設計・データ整備から、流れや内訳が伝わるグラフ・ダッシュボードづくりまで伴走します。お気軽にお問い合わせください。
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