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Agentic RAG / Agentic Search とは|検索を動的に組み立てる現代型RAG


Agentic RAG / Agentic Search は、AI(Claude・GPT・Gemini など)が自分で検索計画を立て、反復しながら根拠を集める現代型の RAG パターンです。本記事では、従来 RAG との違い、Agentic RAG と Agentic Search の関係、主要な実装パターン、LangChain / LangGraph / Agents SDK の現在の位置づけを整理します。

公開2026.05.11
最終更新2026.05.11
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AI × 業務活用Agentic RAG / Search

Agentic RAG とは

「RAG をやってみたが期待ほど精度が出ない」「複数文書をまたぐ調査がうまくいかない」という相談は、多くの場合 2022〜2023 年型の RAG(1 ショット検索 → top-K → 回答)の限界に当たっています。2024 年以降は、AI 自身が検索計画を立て反復する Agentic RAG / Agentic Search が主流化しました。本記事ではその違いと、BtoB で何を選ぶべきかを整理します。

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結論
2026 年の RAG は「AI が検索を反復する」のが現代形

固定クエリで 1 度だけ検索する従来型 RAG は、社内 FAQ など答えが定型的な用途には今でも十分です。一方、複数資料の突き合わせや調査が必要な領域では、AI 自身が検索計画を立てて反復する Agentic RAG / Agentic Search が主流です。

01.まず結論:AIが検索を反復する RAG

Agentic RAG の本質は、「検索クエリをアプリ側で固定する」から「AI が検索戦略を動的に決める」へ責任を移すことです。これにより、複雑な質問でも (a) 質問を分解、(b) サブ質問ごとに検索、(c) 結果を評価、(d) 足りなければ再検索、を繰り返して根拠を集められるようになります。

図解:Agentic RAG の動作フロー
1質問受領

ユーザー質問を受け取り、AI が検索戦略を立てる

2クエリ分解

大きな質問をサブクエリに分解

3反復検索

サブクエリごとに検索 / 結果を評価 / 必要なら再検索

4統合

得られた根拠を統合して回答を生成(出典付き)

従来 RAG はステップ 1→3→4 の 1 周だけ。Agentic RAG はステップ 2 と 3 を AI が複数回繰り返します。

02.RAG → Agentic RAG → Agentic Search の関係

3 つはまったくの別物ではなく、同じ家系の発展段階です。違いは「検索を AI が動的に組み立てるかどうか」「対象が社内文書か Web か」の 2 軸で整理できます。

パターン検索の意思決定反復代表用途・実装
RAG(従来型)アプリが固定クエリで検索1 回社内 FAQ、規程検索、定型 Q&A
Agentic RAGAI がクエリを分解・生成必要に応じ複数回社内文書を横断する調査、Self-RAG、ReAct
Agentic SearchAI が Web 検索を反復・統合数回〜数十回Perplexity Deep Research、ChatGPT Deep Research
GraphRAG文書のエンティティ関係をグラフ化して検索(実装次第)組織・製品・契約の関係性をたどる調査

従来 RAG(1ショット検索)

2022〜2023 年に LangChain などで流行した「ベクトル検索 → top-K → そのまま回答」が従来型 RAG です。固定クエリで 1 度だけ検索し、得られた断片をプロンプトに入れて答えさせます。質問が単純で答えが定型な領域(社内 FAQ・規程検索)では現在でも十分です。

Agentic RAG(検索の動的計画)

AI が自分で「どのクエリで検索すべきか」「結果が足りているか」「再検索が必要か」を判断します。検索対象は主に社内文書やナレッジベースで、Tool Use(Function Calling)の検索ツールを AI が反復呼び出しする形で実装されることが多いです。Self-RAG・ReAct・Plan-and-Execute などの研究パターンが土台になっています。

Agentic Search(Web 反復探索)

Agentic RAG の検索対象を Web に広げたものが Agentic Search です。Perplexity の Pro Search、OpenAI / Anthropic / Google の Deep Research / 調査エージェントが該当します。1 つの調査タスクで数十回の検索を回し、結果を統合してレポートを返すパターンが主流です。

03.Agentic RAG の主要パターン

パターン中身効きやすい場面
Query Rewritingユーザー質問を検索向けに書き換え曖昧な口語質問を、ヒットしやすい検索式に変換
Multi-step Retrievalサブクエリに分解して並列・順次検索複合的な質問、複数文書の突き合わせ
Self-RAGAI が「もっと検索すべきか」「答えるべきか」を自己判定情報十分性の判断、無駄検索の抑制
ReAct推論 (Reason) と行動 (Act) を交互に進める計算・検索・確認を絡めた調査
GraphRAG文書をエンティティと関係でグラフ化組織図、契約、顧客関係などの構造的調査
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実装の前提
Agentic RAG は Tool Use + 状態管理の組み合わせ

Agentic RAG はモデル単体の機能ではなく、Tool Use(検索ツール)+ 状態管理(中間結果の保持)+ 終了判定(十分性判断)の組み合わせで実装されます。Anthropic / OpenAI の Agents SDK や、状態機械型の LangGraph がこの土台を提供します。

04.RAG パターンの変遷

図:RAG パターンの変遷(左:研究・仕様の動き / 右:業界・製品の動き)
研究・仕様の動き
時期
業界・製品の動き
Agentic RAG / GraphRAG が業務 PoC 段階
2026.05
「単発検索 RAG」は過去寄り、エージェント駆動が主流
Deep Research(OpenAI・Anthropic・Perplexity)
2025
数十回の検索を回す調査エージェントが主流に
Perplexity / Anthropic / Google が反復検索を製品化
2024 後半
Agentic Search が一般ユーザーに届く
Function Calling / MCP 標準化
2024
Tool としての検索が業界共通化
Self-RAG / ReAct 系の研究
2023 後半
AI 自身が「検索を継続するか」を判断する設計
LangChain など汎用 SDK の流行
2022–2023
ベクトル検索 → top-K → 回答の 1 ショット型 RAG が主流
RAG 論文(Lewis et al.)
2020
「検索 + 生成」の理論基礎

オレンジで強調した行は、現在の RAG 像に直結する転換点。

「Agentic RAG なんて聞いたことがない」と感じる方は、2022〜2023 年の RAG 像で止まっている可能性があります。LangChain で構築した 1 ショット型 RAG は、2026 年現在では「過去寄りの実装」です。

05.LangChain / LangGraph / Agents SDK の現在地

2022〜2023 年は LangChain で全部つなぐ発想が主流でしたが、2024 年以降は次のように整理されています。

フレーム現在地(2026/05)向く用途
LangChain(汎用 SDK)学習・OSS PoC 用途で残るが、本番主流から外れたローカル試作、学習教材
LangGraph状態機械型のエージェント設計。LangChain チーム提供で本番でも採用複雑な分岐・反復・ガード条件があるエージェント
Anthropic Agents SDKClaude 純正。Agent Teams / Subagents を標準化Claude を中核に据えた業務エージェント
OpenAI Agents SDKGPT 系純正。Tool Use + ハンドオフ + ガードレールを統合GPT を中核に据えた業務エージェント
MCP接続層の標準。各 SDK と組み合わせて使う外部システム接続の共通化
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過去の話
「LangChain で全部やる」は 2024 年以降ほぼ過去の選択

LangChain は OSS / 学習用途では引き続き有効ですが、業務本番では Anthropic Agents SDK / OpenAI Agents SDK + MCP + LangGraph(状態管理だけ採用)の組み合わせが主流です。2022〜2023 年に LangChain で組んだ社内 AI は、2026 年の標準仕様に乗り換える設計判断が必要になります。

06.BtoBで向く用途・注意点

業務推奨パターン理由
社内 FAQ・規程検索従来 RAG で十分答えが定型、検索 1 回で完結
競合・市場調査Agentic Search(Web 反復)複数ソースの統合、最新性が必要
顧客個別の調査・提案準備Agentic RAG(社内 + Web)社内資料 + 公開情報の組み合わせ
契約・規程の横断照合GraphRAG / Agentic RAG条文間の関係性、参照解決
コード調査・修正Agentic RAG + Tool Useコード検索 + 実行 + 確認の反復
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運用注意
反復回数とコスト・速度のトレードオフ

Agentic RAG / Agentic Search は反復が多いほど精度が上がりますが、推論コストと応答時間も比例で増えます。1 タスクで数十回検索する Deep Research は、API 料金が従来 RAG の数倍〜十倍になることもあり、PoC 段階で実測した上で本番設計します。

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07.よくある質問(FAQ)

Agentic RAG と Agentic Search は何が違いますか?

技術的にはほぼ同じ家系で、検索対象が「社内文書(RAG 基盤)」か「Web 検索 API」かで呼び名が変わる程度です。Agentic Search は Perplexity・ChatGPT Deep Research・Claude の調査エージェントなど、Web を対象にした製品名で広まっています。社内 AI 文脈では Agentic RAG が一般的です。

従来 RAG はもう使うべきではありませんか?

用途次第です。社内 FAQ・規程検索のような定型 Q&A、答えが 1 つの文書に収まる場面では従来 RAG で十分機能します。複雑な調査・複数資料の突き合わせ・最新情報の統合が必要な場面で Agentic RAG / Agentic Search が必要になります。コスト・応答時間のトレードオフがあるので、用途で使い分けるのが現実的です。

LangChain は使うべきではないですか?

OSS / 学習用途では引き続き有用ですが、業務本番では Anthropic / OpenAI の Agents SDK + MCP の組み合わせが主流です。LangGraph(LangChain チームの状態機械型 SDK)は複雑な分岐・反復のあるエージェント設計で本番採用余地があります。2022〜2023 年に LangChain で組んだ社内 AI は乗り換えを検討するタイミングです。

Agentic RAG を入れると API コストはどのくらい増えますか?

反復回数次第ですが、従来 RAG の数倍〜十倍になり得ます。1 タスクで数十回の検索を回す Deep Research 系は特にコストが高くなりがちです。PoC で「1 タスクあたりのトークン消費・検索回数・応答時間」を実測してから、本番の利用上限・課金モデルを設計します。

Agentic RAG を使えばハルシネーションは消えますか?

減りますが、消えません。検索段階で誤った資料を選ぶ、要約段階で根拠を歪める、サブクエスチョン分解で本質を外す、といった誤りは依然起こります。出典確認と人間レビューは引き続き必要です(詳細は別記事「ハルシネーションとは」を参照)。

08.まとめ

Agentic RAG / Agentic Search は、RAG の発展形であり別物ではありません。違いは「検索を AI が動的に組み立てるかどうか」「対象が社内か Web か」の 2 軸です。社内 FAQ のような定型用途は従来 RAG で十分、調査・突き合わせ・最新情報が必要な領域では Agentic RAG / Agentic Search が現代形です。

フレームワーク選定では、「LangChain で全部やる」は 2024 年以降ほぼ過去の選択。Anthropic / OpenAI の Agents SDK + MCP + 必要に応じて LangGraph、という組み合わせが現在の主流です。Agentic RAG は反復回数とコストのトレードオフが直接効くので、PoC で実測してから本番設計に進みます。

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澤田 翔太(Shota Sawada)
この記事を書いた人

澤田 翔太

株式会社クリプタル 代表取締役

1988年生まれ、慶應義塾大学卒。創業メンバーとして関わった株式会社セールスサポートを株式会社ネオマーケティング(東証STD 4196)に売却。株式会社クリプタルでも複数の事業立ち上げと売却を経験し、2022年9月には婚活・恋愛メディア「シッテク」「婚活会議」を株式会社ベビーカレンダー(東証GRT 7363)へ売却。現在はAI業務支援事業、TANTOU事業、グロースハック支援事業、メディア事業、SEOコンサルティング事業を手がける。