LP改善の定番施策
LP(ランディングページ)の数字が伸びないと、つい全面リニューアルを考えがちです。ただ、費用も時間もかかるうえ、一度に大きく変えると何が効いたのか分からなくなります。先に手をつけるべきは、効果が出やすく、変更前後を比べやすい定番の見直しです。
この記事では、LP改善の定番施策を7カテゴリ・38項目にまとめ、各項目に「なぜ効くのか」と図を添えました。LPのパーツの呼称も、初めての方が迷わないよう本文で補っています。LPO(ランディングページ最適化)の進め方そのものは、LPOとはで扱います。
LP改善は、ファーストビュー・訴求・信頼・CTA・フォームという、効果の出やすい定番から始めるのが近道です。共通するのは「訪問者を迷わせない・余計な手間を増やさない」という方向で、装飾的な英語や情報の詰め込みはむしろ離脱を増やします。ただし効き方は商材や訪問者で変わるため、まとめて入れ替えず、1つずつA/Bテストや計測で自社のLPでの効果を確かめることが前提です。
ファーストビュー・訴求・CTA・フォーム・社会的証明といった定番は、広告LPに限らず、オウンドメディアの記事やコーポレートサイトのページにも共通して効果的です。本記事を共通のベースにしつつ、種類ごとに重視点が変わる部分は、オウンドメディア改善の定番施策とコーポレートサイト改善の定番施策で扱います。
01.LP改善の定番施策38一覧(カテゴリ別)
まず全体像です。38の定番施策を7カテゴリに分け、通し番号(No.1〜38)を振りました。カテゴリ名から各章へ移動できます。
| カテゴリ | 通し番号 | 代表的な施策 | 主な狙い |
|---|---|---|---|
| ① ファーストビュー(Hero) | No.1〜6 | 広告と見出しの一致・一文で価値を伝える | 最初の数秒で離脱させない |
| ② 訴求・コピー | No.7〜12 | ベネフィット先行・訴求を1つに絞る | 読み進める理由をつくる |
| ③ 信頼・安心(社会的証明) | No.13〜18 | 実績の数字・お客様の声・価格の明示 | 申し込む不安を取り除く |
| ④ CTA | No.19〜24 | 行動+結果の文言・要所への再掲 | 次の行動で迷わせない |
| ⑤ フォーム(EFO) | No.25〜30 | 項目を絞る・入力補助・エラーの明示 | 最後の離脱を減らす |
| ⑥ 構成・導線 | No.31〜35 | 結論の先出し・出口を減らす・FAQ | 読む流れを止めない |
| ⑦ 表示速度・モバイル | No.36〜38 | 画像の圧縮・実機での確認 | 遅さと見づらさで失わない |
共通するのは「訪問者を迷わせない・余計な手間を増やさない」という方向です。次の章からは、それぞれのカテゴリを順に見ていきます。
02.そもそもLPのパーツの呼称とは?
LP改善の話には、ファーストビュー・Hero・CTA・EFOといった呼称が出てきます。まず、LPがどんなパーツでできているかを整理します。各パーツの呼び方が分かると、どこを直す話なのかを共有しやすくなります。
LPの主なパーツと呼称
上から下への一般的な構成例。番号は下の表の呼称に対応します。
ファーストビュー(Hero)=最初の一画面
| 番号 | 呼称 | 役割 |
|---|---|---|
| 1 | ヘッダー | ロゴや電話番号を置く最上部。LPでは要素を絞ることが多い |
| 2 | ヘッドライン(キャッチコピー) | 最初に読ませる一文。価値を端的に伝える |
| 3 | メインビジュアル | 商品・利用シーン・成果を直感的に伝える画像 |
| 4 | CTA(メインボタン) | 申し込み・問い合わせなど、最も促したい行動の入口 |
| 5 | ベネフィット | 機能ではなく、訪問者が得られる結果 |
| 6 | 社会的証明 | 導入実績・お客様の声・ロゴなど、第三者の裏づけ |
| 7 | ボディ | 特徴・機能・使い方などの本文 |
| 8 | FAQ | 申し込み前の疑問や不安に先回りして答える |
| 9 | フォーム | 申し込み・問い合わせの入力欄。EFOの対象 |
| 10 | 追従CTA(スティッキー) | スクロールしても画面に残り続ける行動ボタン |
ファーストビューは、スクロールせず最初に見える範囲を指す日本語です。Heroセクションは、その最上部に置く主役エリア(ヘッドライン・メインビジュアル・CTA)を指す呼び方で、実務ではどちらもLPの「最初の一画面」を指して使われます。EFO(Entry Form Optimization)は、入力フォームの完了率を上げる最適化のことです。
03.LP改善はどこから手をつけるべき?
訪問者がLPを離れる場所は、おおむね決まっています。流入を成果まで分解すると、ファーストビュー・本文・フォームという各段階で、どこで取りこぼしているかが見えてきます。
- LPに訪問10,000
- ファーストビューを通過(スクロール)5,500
- 本文・ベネフィットまで到達2,800
- フォームに到達900
- 送信・申し込み完了180
どこで落ちているかは、ヒートマップやアクセス解析で当たりがつきます。考え方は、コンバージョン率(CVR)の基礎で扱う「流入×クリック率×フォーム完了率」の分解が役立ちます。改善は、この離脱の大きい段階から手をつけると効果が出やすくなります。
04.ファーストビュー(Hero)の定番施策
ファーストビューは、スクロールせず最初に見える範囲です。ここで「自分に関係がある」と伝わらなければ、その先は読まれません。Nielsen Norman Groupの調査でも、ページの閲覧時間の約57%がファーストビューに集中していました(Scrolling and Attention)。最初の一画面に何を置くかが、その後の離脱を大きく左右します。
| No. | 定番施策 | ねらい・ポイント |
|---|---|---|
| 1 | 広告・流入元のメッセージと見出しを一致させる | クリック前に見た言葉と着地後の見出しがずれると「違うページに来た」と感じて離脱する |
| 2 | 「誰の・どんな悩みを・どう解決するか」を一文で伝える | 抽象的なキャッチではなく、対象と便益が一目で分かる一文を置く |
| 3 | 提供価値が直感的に伝わるメインビジュアルにする | 商品・利用シーン・成果が想像できる画像にし、雰囲気だけの写真にしない |
| 4 | ファーストビュー内に最初のCTAを置く | スクロールする前に、行動の入口を見せておく |
| 5 | 重要な情報を一画面に収め、間延びさせない | 過剰な余白や装飾で価値が画面の下へ押し出されないようにする |
| 6 | ヘッダーのリンクを絞り、別ページへの離脱口を減らす | ファーストビューから他ページへ逃がさず、本文へ送る |
05.訴求・コピーの定番施策
伝わらない訴求の代表が、意味のない英語ラベルと抽象的なキャッチです。大きな英語の見出しを置いても、読者の多くは日本語で読み、意味を取れずに飛ばします。飾りのことばを削り、訪問者が得られる結果を具体的な日本語で書くのが基本です。
| No. | 定番施策 | ねらい・ポイント |
|---|---|---|
| 7 | 意味のない英語ラベル・抽象的なキャッチを削る | 中身を伝えない装飾を外し、具体的な日本語に置き換える |
| 8 | 機能ではなくベネフィット(得られる結果)を先に書く | 「項目を自動入力」より「入力の手間が半分になる」のように結果で示す |
| 9 | 1つのLPで訴求を1つに絞る | 複数の訴求を詰め込むと、どれも刺さらなくなる |
| 10 | 数字を使って具体的に示す | 「多くの企業」より「導入1,200社」のほうが信じられる |
| 11 | 専門用語を避け、読者のことばで書く | 社内用語・業界用語は、読者が使うことばに翻訳する |
| 12 | 訪問者の不安・反論にあらかじめ答える | 「高そう」「難しそう」を先回りして打ち消す一文を置く |
減らすべきは、意味のない英語・抽象的なキャッチ・繰り返しの自賛といった装飾です。一方で、価格・条件・実績・解約のしやすさなど、訪問者が申し込みを判断するために必要な情報は、削るとかえって不安で離脱します。「飾りを削る」と「情報を減らす」を混同しないことが大切です。
06.信頼・安心(社会的証明)の定番施策
訪問者は、書き手の自賛よりも第三者の事実を信じます。導入実績の数字、お客様の声、導入企業のロゴといった社会的証明は、申し込みを後押しする材料になります。あわせて、価格や解約条件など、申し込み前の不安を先に解消しておきます。
| No. | 定番施策 | ねらい・ポイント |
|---|---|---|
| 13 | 導入実績・利用者数を数字で示す | 「選ばれている」事実を、数字で裏づける |
| 14 | お客様の声・導入事例を載せる | 第三者の具体的な声は、自賛より信じられる |
| 15 | 導入企業ロゴ・受賞・メディア掲載を載せる | 知っている名前が安心材料になる |
| 16 | 価格・解約条件を明示する | 料金が不明瞭だと、問い合わせ前に離脱しやすい |
| 17 | 個人情報の扱い・セキュリティの安心材料を示す | フォーム入力前の不安を、先に取り除く |
| 18 | 返金保証・無料トライアルなどリスクを下げる条件を示す | 「合わなければ戻せる」と分かると申し込みやすい |
実績の数字を出すときは、出典や前提が分かる形で示すと、かえって信頼を損ないません。
実績の数字・お客様の声・体験談は、見せ方によっては優良誤認やステルスマーケティングの規制に触れます。誇張した実績、根拠のない「No.1」表示、依頼した感想を自然な口コミに見せる演出などは避け、出典・前提・関係性を明示します。表現面の確認ポイントは、コンテンツ制作の法務リスクで扱います。
07.CTAの定番施策
CTAは、訪問者に次の行動を促すボタンや誘導です。定番の見直しは、文言・位置・見た目の3つに集約できます。「送信」より「無料で資料を受け取る」のように、押した先で何が起きるかが分かる文言のほうが押されます。
| No. | 定番施策 | ねらい・ポイント |
|---|---|---|
| 19 | ボタン文言を「行動+結果」にする | 「送信」より「無料で資料を受け取る」のほうが押される |
| 20 | 読み進めた要所にCTAを繰り返し置く | 気持ちが高まった位置に、行動の入口を用意する |
| 21 | 色のコントラストで目立たせ、1画面で競合させない | ボタンを複数競わせると、どれも選ばれにくくなる |
| 22 | ボタン周辺に背中を押す一言を添える | 「無料」「30秒で完了」「いつでも解約可」などの一言を足す |
| 23 | 押しやすいボタンの見た目(サイズ・余白)にする | 小さすぎる・余白が詰まったボタンはタップされにくい |
| 24 | メインの行動とサブの行動の優先度を分ける | 「申し込み」を主役にし、「資料DL」は控えめに置く |
CTAの優先順位の付け方や、メインの成果と中間ゴールの階層は、コンバージョン設計で詳しく扱います。
08.フォーム(EFO)の定番施策
フォームは、LPでもっとも離脱が起きやすい場所です。ECサイトの決済フォームを研究するBaymard Instituteの調査では、決済フォームの項目数は平均で約11項目あり、多くのサイトで本当に必要なのは8項目程度とされています(Checkout Flow Average Form Fields)。ステップ数より入力項目の多さのほうが、完了率に効くという指摘です。
決済フォームの項目数:平均と推奨
項目が多いほど離脱が増える
- 平均的なサイト約11項目
- 推奨される項目数8項目程度
| No. | 定番施策 | ねらい・ポイント |
|---|---|---|
| 25 | 入力項目を本当に必要なものだけに絞る | 項目数の多さが、完了率にもっとも効く |
| 26 | 必須・任意を明示し、入力例やプレースホルダを置く | 何をどう入れるか迷わせない |
| 27 | 住所自動入力・全角半角の自動変換など入力補助を入れる | 入力の手間と入力ミスを減らす |
| 28 | エラーはその場で示し、長い場合はステップに分割する | 送信後にまとめてエラーを出さない |
| 29 | 入力欄に合ったキーボード・形式を指定する | 電話番号は数字キーボードを出すなど、スマホの一手間を減らす |
| 30 | 送信ボタン付近に安心材料と完了の目安を添える | 「入力は30秒」「個人情報は暗号化」で送信の不安を下げる |
自社フォームが上の観点をどれくらい満たせているかは、フォームのURLを入れるだけでその場で簡易採点できます。まずは現状の点数と「要対応」項目を確認してみてください。
フォームのURLを入れると、入力項目数・label・type・autocomplete などEFOの観点を100点満点で簡易採点します。入力したURLの記録は行いません。
URLでうまく取得できないとき: HTMLを貼り付けてチェック
09.構成・導線の定番施策
ファーストビューを通過した訪問者を、フォームまで止めずに運ぶのが構成・導線の役割です。LPは1つの行動に集中させるページなので、迷いや離脱の出口を減らし、読む流れを途切れさせないようにします。
| No. | 定番施策 | ねらい・ポイント |
|---|---|---|
| 31 | 結論・要点を先に示す | 読み進める前に「自分に関係がある」と分からせる |
| 32 | グローバルナビや外部リンクなど離脱の出口を減らす | LPを1つの行動に集中させる |
| 33 | 長いLPには目次・追従(スティッキー)CTAを置く | スクロール中も、いつでも行動できるようにする |
| 34 | 想定される疑問をFAQで先回りして解消する | 残った不安が、最後の一押しを止めないようにする |
| 35 | 情報の順番を検討段階に沿って並べる | 「課題→解決→証拠→料金→申し込み」の流れで迷わせない |
10.表示速度・モバイルの定番施策
表示が遅いLPは、ファーストビューを見る前に離脱されます。Think with Googleの調査では、読み込み時間が1秒から3秒に延びると直帰の確率が32%上がるとされています(Mobile page speed benchmarks)。ここまでの改善の効果を打ち消さないよう、速度とモバイルでの見え方は必ず確認します。
表示時間が延びると直帰確率はどれだけ上がる?
読み込み1秒を基準にした直帰確率の増加(モバイル)
- 1秒→3秒+32%
- 1秒→5秒+90%
- 1秒→10秒+123%
| No. | 定番施策 | ねらい・ポイント |
|---|---|---|
| 36 | 画像を圧縮し、ファーストビューを速く表示する | 表示が出る前の離脱を防ぐ |
| 37 | 実機のスマートフォンで文字サイズ・押しやすさを確認する | パソコンの画面だけでは気づけない |
| 38 | タップ発信や適切な入力キーボードなどモバイル操作を整える | スマホでの一手間を減らす |
11.定番施策はどの順で試すとよい?
38の施策を一度に入れ替えると、何が効いたのか分からなくなります。離脱の大きい場所から、効果の出やすい順に1つずつ試すのが目安です。まずは次のチェックリストで、抜けている定番がないかを確認してください。
- ✓ ファーストビューの見出しが、広告や流入元のメッセージと一致している
- ✓ 「誰の・どんな悩みを・どう解決するか」が一文で伝わる
- ✓ 意味のない英語ラベルや過剰な装飾を削っている
- ✓ 機能ではなく、得られる結果(ベネフィット)を先に書いている
- ✓ 導入実績・お客様の声など、第三者の事実で裏づけている
- ✓ 価格・解約条件など、申し込み前の不安を先に解消している
- ✓ ファーストビュー内に最初のCTAがあり、文言が具体的である
- ✓ フォームの項目を、本当に必要なものだけに絞っている
- ✓ 離脱の出口(外部リンク・余計なナビ)を減らしている
- ✓ 実機のスマートフォンで表示速度と入力しやすさを確認した
12.次に読むとよい記事
13.よくある質問(FAQ)
LP改善は全面リニューアルから始めるべきですか?
まずは部分的な見直しから始めるのがおすすめです。ファーストビューの文言、CTAの位置と文言、フォームの項目数は、デザインを大きく変えなくても直せて、効果も確かめやすい部分です。全面リニューアルは費用も時間もかかり、何が効いたのか分かりにくくなります。まず効果の出やすい定番から1つずつ試すのが近道です。
定番施策をすべてやれば必ずコンバージョン率は上がりますか?
必ずとは言えません。定番施策は「当たりやすい仮説」であって、効き方は商材・訪問者・流入元で変わります。だからこそ、変更前後を比べられる形で1つずつ試し、A/Bテストや計測で自社のLPでの効果を確かめることが大切です。定番をまとめて入れ替えると、何が効いたのか分からなくなります。
フォームの項目はどこまで減らせばよいですか?
営業やフォローに本当に必要な項目だけに絞るのが基本です。とりあえず集めている項目は、入力の手間になり離脱を増やします。最初の問い合わせは会社名・氏名・連絡先など最小限にして、詳しい情報は商談や次のステップで聞くと、完了率を保ちやすくなります。
ファーストビューとHeroセクションは同じものですか?
ほぼ同じ意味で使われます。ファーストビューはスクロールせず最初に見える範囲を指す日本語、Heroセクションはその最上部に置く主役エリア(ヘッドライン・メインビジュアル・CTA)を指す呼び方です。実務ではどちらもLPの最初の一画面を指すことが多く、厳密に区別せず使われます。
14.AI活用で、流入から改善まで一貫させる
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