Claude Code・Codex
スキルの作り方
Claude Code(Anthropic)とCodex(OpenAI)は、ターミナルから自然言語で指示を出し、コードを読み書きさせるコーディングエージェントです。どちらも「スキル(Agent Skills)」を渡すと、レビューやテスト、文書作成といった決まった作業を、毎回同じ品質でこなせるようになります。出回っているスキルを探して入れる方法は、Claude Code・Codexのおすすめスキル|探し方・選び方・入れ方と定番スキル集で整理しています。本記事は、その先の「繰り返す作業を、自分のスキルとして作る」ところに踏み込みます。
作り方そのものは難しくありません。スキルの実体は、先頭にnameとdescriptionを書いたSKILL.mdという1枚のテキストだからです。実際には、どの作業をスキルにするかの選び方、狙った場面で自動的に発火させる書き方、そして作ったあとの育て方で差がつきます。固有名は公式ドキュメントで確認したものに絞っています。
スキルづくりは、よく繰り返す作業ひとつを短いSKILL.mdに手書きするところから始めます。効くかどうかはdescriptionに「どんなときに使うか」を具体的に書けているかでほぼ決まります。あとは1スキル1目的に絞り、実際に使いながら手直しして育てます。雛形づくりは公式のSkill CreatorやCodexの$skill-creatorが補助してくれますし、育ったスキルはリポジトリに置けばそのままチームにも広げられます。
01.結論:小さく手書きし、使いながら育てる
スキルづくりでつまずくのは、たいてい最初に大きく設計しすぎたときです。テキスト1枚から始めて、実際の作業で呼ばれるかを確かめながら直すほうが、結果的に早く形になります。以降、この結論を分解して、メリット→最小構成→descriptionの設計→作り方6ステップ→スキルを作るスキル→置き場所→チーム運用の順に説明します。
02.スキルを作ると何が良いのか|4つのメリット
作り方の前に、スキルを自作すると何が良くなるのかを押さえておきます。出来合いのスキルを入れるだけでも便利ですが、自分の繰り返し作業をスキルにすると、次の4つの効果が積み上がります。
図:スキルを自作する4つのメリット
まず自分の繰り返し作業が楽になり、自動で呼び出され、使うほど育つ。リポジトリに置けば、そのままチームの標準にもなります。
① 説明が要らなくなる
毎回同じ指示を書かない
繰り返し伝えていた前置きや手順が不要になり、頼むだけで同じ品質の結果が返る。
② 自動で発火する
呼び出す手間がゼロ
関係する作業で勝手に効く。毎回プロンプトに貼る必要がなく、貼り忘れもない。
③ 使うほど育つ
手直しが積み上がる
テキストなので直すのも一瞬。使って気づいた改善が、次回から必ず効く。
④ チームに広げられる
属人化を解く
リポジトリに置けば全員が同じ手順を共有。レビューで質も保てる。
1つ目は、毎回の説明が要らなくなることです。「リリースノートを書くときは、この観点で差分を確認して、この順で書いて――」と毎回書いていた説明が、一度SKILL.mdに固定すれば不要になります。指示の出し方のうまさに左右されず、頼むだけで毎回同じ段取りが走るので、結果の品質が安定します。
2つ目は自動発火です。エージェントは、いま取り組んでいる作業の内容と各スキルの説明文(description)を照らし合わせ、関係しそうなときだけそのスキルを読み込みます。「あのスキルを使おう」と意識しなくても、関係する作業を頼むだけで適用されるため、プロンプトの定型文のように毎回貼り付ける必要がありません。仕組みと発火させる書き方は、後半で詳しく扱います。
3つ目は、使うほど育つことです。スキルはただのテキストなので、使って気づいた不足をすぐ直せます。「ここで発火してほしかった」「この手順が足りない」という気づきを反映するたびに、次回から確実に効きます。この積み重ねが、一度きりの効率化との違いです。
そして4つ目が、チームへの広げやすさです。リポジトリに置いてコミットすれば、変更履歴が残り、プルリクエストでレビューでき、チーム全員が同じ手順を共有できます。個人の効率化として始めたスキルが、そのまま組織の標準になっていきます。
スキルづくりの位置づけを、Anthropicは「Moving up the stack」という整理で説明しています(Equipping agents for the real world with Agent Skills)。Models(プロセッサ)の上にAgents(OS)が乗り、その上にSkills(アプリケーション)が乗る――つまりスキルの自作は、エージェントというOSの上で動く自社専用のアプリケーションを増やしていくことにあたります。プロセッサやOSは買ってくるものでも、業務に効くアプリケーションは自分たちで足していけます。
図解:Moving up the stack
Models = プロセッサ、Agents = OS、Skills = アプリケーション。スキルの自作は、この最上層に自社専用のアプリケーションを足していく行為にあたります。
03.スキルの最小構成をおさらい(SKILL.md・name・description)
次に、スキルの最小構成を確認します。スキルは1つのフォルダで、中身は次のとおりです。本体はSKILL.mdという1枚のテキストで、これだけでもスキルとして成立します。
図:スキルの最小構成(フォルダ1つ)
本体はSKILL.mdだけ。必要に応じて、参照資料や補助スクリプトを同じフォルダに足していきます。
release-notes/ ── フォルダ名 = スキル名
├── SKILL.md ── 本体(先頭に name / description、続けて手順)
├── reference.md ── 任意:詳しい参照資料(必要なときだけ読まれる)
└── scripts/
└── collect_diff.sh ── 任意:補助スクリプトSKILL.mdの先頭には、YAMLフロントマターと呼ばれる短い設定を書きます。最低限必要なのはname(スキルの名前。フォルダ名と一致させる)とdescription(何をするか・どんなときに使うか)の2つだけです。その下に、ふだん指示で伝えている手順をそのまま書きます。
図:SKILL.md の最小例
先頭の3行のあいだ(フロントマター)に name と description。その下が、エージェントに読ませたい手順の本文です。
--- name: release-notes description: リリースノートを書くときに使う。直前のタグからの差分を ユーザー向けの変更点に整理し、決まった見出し構成で日本語の リリースノートを作成する。「リリースノート」「変更点をまとめて」 と頼まれたときに発火する。 --- # リリースノートの作り方 1. 直前のリリースタグからの差分を確認する。 2. 内部的な修正と、ユーザーに関係する変更を分ける。 3. 「新機能 / 改善 / 修正」の見出しで、利用者目線の言葉に直す。 4. 末尾に既知の注意点があれば加える。
フロントマターに書ける項目は、nameとdescriptionのほかにもあります。Claude Codeで使える主な項目を挙げます(全項目の一覧は公式ドキュメントAgent Skillsを参照。Codexが読み取るのはこのうちnameとdescriptionです)。
| 項目 | 役割 | 備考 |
|---|---|---|
| name | スキルの表示名 | 省略するとフォルダ名が使われる |
| description | 何をするか・いつ使うかの説明 | 自動発火の判定材料。これだけは必ず書く |
| when_to_use | 発火条件の補足(依頼の例・トリガー語) | descriptionに連結されて判定に使われる |
| disable-model-invocation | trueにすると自動発火を止める | 手動実行(/スキル名)専用にしたいとき |
| allowed-tools | スキル実行中に確認なしで許可するツール | スキルに使わせるツールを絞れる |
スキルが何かという仕組み――SKILL.mdとYAML、段階的開示、MCPとの役割分担、階層モデルまで――は、Agent Skills|専門知識をフォルダで配るエージェントの作り方と構成で整理しています。基礎から確認したい場合は、あわせてご覧ください。本記事は、この最小構成を前提に「効くスキルをどう書くか」へ進みます。
04.自動で発火する仕組みと、発火させるdescriptionの書き方
スキルは、入れただけでは効きません。数が増えるほど存在を忘れ、呼び出されないまま「入れっぱなし」になるスキルが出てきます。狙った場面で自動的に発火(関係する作業のときだけ中身が読み込まれること)してくれれば、作った本人が忘れていても、関係する作業のたびに勝手に効きます。そして、descriptionの書き方が発火の精度を左右します。
常に読むのはnameとdescriptionだけ(段階的開示)
スキルを大量に用意しても重くならないのは、「段階的開示」という設計があるためです。エージェントが起動時に常に読むのは、各スキルのnameとdescriptionだけ(1スキルあたりごくわずかな分量)。本文や参照資料は、その作業に関係すると判断されたときに初めて読み込まれます。公式の技術ブログ(Equipping agents for the real world with Agent Skills)でも、この段階的な読み込みが中心的な考え方として説明されています。
図:スキルが自動で発火するまでの流れ
起動時に読むのは name と description だけ。作業内容と照らして関係しそうなら、本文・補助ファイルが読み込まれて実行されます。
① 起動時
説明文だけ読む
全スキルの name と description を読み込む(軽い)。本文はまだ読まない。
② 作業が来る
内容と照合する
ユーザーの依頼と各 description を照らし合わせ、関係しそうなスキルを探す。
③ 発火
本文を読み込む
一致したスキルの SKILL.md 本文(必要なら補助ファイルも)を読み込む。
④ 実行
手順どおり進む
読み込んだ手順に沿って作業する。利用者は呼び出しを意識しなくてよい。
この流れでは②が発火の可否を決めます。照合の材料はdescriptionなので、ここが曖昧だと、関係する作業が来ても発火しません。逆に具体的に書けば、利用者が何も指定しなくても自動で呼ばれます。
発火するdescriptionの型:何を×いつ×具体語
発火するdescriptionには、共通の型があります。「何をするか」だけでなく「どんなときに使うか(発火条件)」と、その作業で実際に出てくる具体的な言葉を入れることです。エージェントは利用者の依頼文と照合するので、依頼に現れそうな単語が入っているほど当たりやすくなります。
| 観点 | 発火しにくい書き方 | 発火する書き方 |
|---|---|---|
| 何をするか | 「ドキュメントを扱う」 | 「直前のタグからの差分を、利用者向けの変更点に整理する」 |
| いつ使うか | 書かない | 「『リリースノート』『変更点をまとめて』と頼まれたとき」と明記 |
| 言葉の具体性 | 抽象的な一般語だけ | 依頼に出てくる固有の語(リリースノート・タグ・差分)を入れる |
| 範囲 | なんでも屋(広すぎる) | 1スキル1目的に絞る |
範囲を絞ることも、発火の安定に効きます。1つのスキルに用途を詰め込むと、どの作業で呼ぶべきか判断しづらくなり、似たスキルどうしで発火が競合します。1スキル1目的を守り、用途が増えたらスキルを分けるのが原則です。
手動でも呼べる(スキル名を指定する)
この自動発火は、両ツールとも既定で有効です。Claude Codeは既定で利用者とClaudeの双方がスキルを呼び出せる設定になっており、Codexも依頼内容がdescriptionに合致するとスキルを自動選択します(allow_implicit_invocationの既定値はtrue)。そのうえで、確実に使いたい場面では手動でも呼べます。Claude Codeでは/スキル名で直接実行でき、Codexでは指示文の中で$スキル名と書いてスキルを指定できます(それぞれ公式ドキュメントAgent Skills・Codex skillsに記載)。新しく作ったスキルが自動では呼ばれないときも、まず手動で動かして手順を確かめ、そのうえでdescriptionを調整して自動発火に寄せていく、という進め方ができます。なお、Claude Codeはスキルのフォルダを監視しているので、既存スキルの編集は同じセッションの中でそのまま反映されます。
05.スキルの作り方|最小構成から作る6ステップ
ここまでを踏まえ、実際にスキルを1つ作る手順を6ステップに整理します。最初から大きく作らず、よく繰り返す作業を1つ選んで小さく始めるのがコツです。
- 1用途を1つ選ぶ
毎回ほぼ同じ手順でやっている作業を1つ選ぶ。最初は小さく、効果が見えやすいものから。
- 2フォルダとSKILL.mdを作る
スキル名のフォルダを作り、その中にSKILL.mdを置く。フォルダ名とnameは一致させる。
- 3手順を本文に書く
ふだん口頭や指示で伝えている段取りを、そのまま箇条書きで本文に書く。背伸びしない。
- 4発火するdescriptionを書く
「何を×いつ×具体語」で説明文を整える。依頼に出てきそうな具体的な言葉を入れる。
- 5補助ファイルを足す(任意)
長い参照資料や繰り返し使うスクリプトがあれば、同じフォルダに分けて置く。
- 6使って直す
実際の作業で発火するか、手順どおり動くかを確認。呼ばれない・ずれるなら4へ戻って調整。
特にステップ6は見落としがちです。スキルは一度書いて終わりではなく、実際に使うと「ここで発火してほしいのに呼ばれない」「手順のこの部分が足りない」と必ず気づきます。使いながら直す前提で、小さく出して回すほうが、最初から作り込むより早く実用に届きます。
公開されている自作スキルを見渡すと、作られているものはいくつかの型に収れんします。
- 開発の型:テスト駆動・コードレビュー・デバッグ・計画立てなど、進め方そのもの。熟練者ほどここを固める。
- 定型文書:議事録、コミットメッセージの統一、調査結果のまとめなど、毎回同じ体裁に整える作業。
- 執筆・ライティング:記事やブログの作成、文体そろえ、校正、AIっぽさの除去。
- スライド・資料:構成案づくりから整形、はみ出しの確認まで。
- 特定ツールの作法:使っているCMS・エディタ・フレームワーク固有の決まりごと。
- スキルを作るスキル:雛形づくりやdescriptionの調整を助けるメタ的なもの。
共通するのは、毎回ほぼ同じ説明をしている作業から先にスキルになっていることです。「また同じ説明をしているな」と感じた作業が、最初のスキル化の候補です。逆に、毎回やり方が変わる一度きりの作業は、スキルにしても効果が薄くなります。
弊社でも、画面の視覚的なチェックや、チェックリスト・ガイドラインに沿っているかの点検など、社内で繰り返す作業をスキルにしてためています。
06.スキルを作るスキル|Skill Creator・$skill-creator・Superpowers
スキルづくり自体を補助する「スキルを作るスキル」が、Claude CodeにもCodexにも公式・コミュニティの両方で用意されています。土台はあくまで手書きですが、雛形づくりやdescriptionの調整はこれらに任せると速くなります。まず選択肢を並べます。
| 作り方 | 中身 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 手書き | エディタでSKILL.mdを直接書く。前提となる道具はなく、最小構成からすぐ始められる | 最初の1本・自社固有の手順・小さく試したいとき |
| Skill Creator(Claude公式) | 対話で意図を聞き取り、雛形作成からテスト・descriptionの最適化までを補助。公式マーケットプレイスのプラグインとして導入 | 雛形を速く用意したい・発火の精度まで詰めたいとき |
| $skill-creator(Codex組み込み) | Codexに標準搭載。何をするか・いつ発火すべきかを対話で確認しながらスキルを生成 | Codexユーザーが最短で1本作るとき |
| Record & Replay(Codex) | 実際の作業を録画し、Codexが手順を検査して再利用可能なスキルを自動生成 | 手順を言語化せずに、実演からスキル化したいとき |
| フレームワーク(Superpowers 等) | 開発の型(計画→設計→テスト先行→実装→レビュー)をまとめて配るスキル集。スキルを書くためのスキルも同梱 | 個別の手順ではなく、開発全体の型を一括で取り入れたいとき |
Claude Code:公式のSkill Creator
Anthropic公式のSkill Creatorは、雛形を出して終わりの道具ではありません。対話で意図を聞き取ってSKILL.mdの下書きを作り、テスト用のプロンプトを実行してスキルあり・なしの結果を比べ、「発火してほしい依頼・してほしくない依頼」を並べてdescriptionの当たり精度まで最適化するところまで面倒を見ます。スキルの効き目を分けるdescriptionの調整を、道具側で詰めてくれる存在です。本体はanthropics/skillsで公開されており、Claude Codeへは公式マーケットプレイス(claude-plugins-official)から/plugin install skill-creator@claude-plugins-officialでプラグインとして導入できます。
図:Skill Creatorがスキルづくりを補助する流れ
対話で意図を聞き取り、雛形を作り、テストで効き目を確かめ、descriptionを最適化する。手書きの各ステップを道具側が支える構成です。
① 聞き取り
意図を確認
何をするスキルか、いつ発火すべきか、出力の形式を対話で確認する。
② 雛形作成
SKILL.mdの下書き
name・description・手順の本文を含む下書きを生成する。
③ テスト
効き目を比べる
テスト用の依頼を実行し、スキルあり・なしの結果を比較する。
④ 最適化
descriptionを詰める
発火すべき依頼・すべきでない依頼を並べて、説明文の当たり精度を上げる。
Codex:組み込みの$skill-creatorとRecord & Replay
Codex側は、スキル作成の補助が本体に組み込まれています(公式ドキュメントCodex skills)。$skill-creatorを呼ぶと、何をするスキルか・いつ発火すべきか・スクリプトを含めるかを対話で確認しながらスキルを生成できます。もうひとつがRecord & Replayで、実際の作業を録画すると、Codexが手順を検査して再利用可能なスキルに起こしてくれます。毎回やっているのに手順をうまく言語化できない作業こそ、実演から作るこの機能に向いています。出来上がったスキルの導入には$skill-installerも用意されています。
フレームワーク:Superpowersのスキル作成スキル
Superpowers(obra/superpowers)は、個別のスキルというより「計画から実装、レビューまでの開発の型」をまとめて配るスキル集で、新しいスキルの作成・既存スキルの編集・デプロイ前の動作確認を担うwriting-skillsという「スキルを書くためのスキル」を含みます。
弊社では、ローカルのコーディングエージェントにSuperpowersを入れて使っており、スキルを作ろうとするとSuperpowersのスキル作成機能(スキルを書くためのスキル)が発火して、雛形づくりを手伝ってくれます。
07.Claude CodeとCodexの両方で使う|置き場所の違いと横断配布
作ったスキルは、エージェントが決まったフォルダから読み込みます。ファイルの書式はClaude CodeとCodexで共通なので中身は流用できますが、読み込む場所は両者で異なります。まずClaude Codeの置き場所です(公式ドキュメントAgent Skillsを参照)。
| 置き場所 | 使える範囲 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 利用者ごと(~/.claude/skills) | 自分のすべてのプロジェクト | 個人で試す・自分用の手順 |
| リポジトリ内(.claude/skills) | そのリポジトリの全員(コミットして共有) | チームで同じスキルを同じ前提で使う |
| プラグイン | プラグインを入れた人 | 複数のスキルをまとめて配布・管理する |
Codex側は、リポジトリ単位の.agents/skillsや利用者単位の~/.agents/skillsを読み込みます(公式ドキュメントCodex skillsを参照。Codexのスキル対応は新しめの機能で、置き場所は今後変わる可能性があります)。書式が同じでも、片方に置けば両方に反映される公式の共有の仕組みがあるわけではないので、同じスキルを両ツールで使うときは、それぞれの読み込み先に届ける必要があります。
図:Claude CodeとCodexのスキル置き場所の対応
スキルのフォルダの中身(SKILL.md)は同じまま、読み込み先だけが異なります。両方で使うときは、それぞれの置き場に同じフォルダを届けます。
Claude Code Codex
───────────────────── ─────────────────────
~/.claude/skills/ ~/.agents/skills/ ← 利用者ごと
└── release-notes/ └── release-notes/
└── SKILL.md └── SKILL.md
.claude/skills/ .agents/skills/ ← リポジトリ内
└── release-notes/ └── release-notes/
└── SKILL.md └── SKILL.md
※ フォルダの中身は共通。置き場所だけ両ツールの読み込み先に合わせるコピーを二重管理したくない場合は、1つの置き場を両ツールの読み込み先からsymlink(ショートカットのような参照)でつなぐ運用もあります(Claude Code側は、スキルの置き場にsymlinkを使えることが公式ドキュメントに明記されています)。弊社では、社内で使うスキルを用途別のフォルダにまとめ、Claude CodeとCodexの両方から読み込めるようにして、1か所を直せば両方に反映される形にしています。どのツールを使うメンバーにも同じやり方が届くことが、横断で配る狙いです。
なお、このSKILL.md形式はAgent Skillsというオープンな標準になっており、Claude CodeとCodexに限らず対応ツールが広がっています。ここで作ったスキルは、チームが将来別のエージェントに乗り換えても持ち運べる資産になります。
Claude CodeとCodexそのものの違いや使い分けは、Claude CodeとCodexの比較とワークフローで整理しています。あわせてご覧ください。
08.チームに広げて定着させる運用
自分用に作って育てたスキルは、リポジトリに置くだけでそのままチームの標準にできます。個人のスキルがチームに定着するまでの流れは、次の循環で回します。
図:個人のスキルがチームの標準になるまで
自分の置き場で試して効き目を確かめ、リポジトリで共有し、コードと同じくレビューで質を保ち、使われないものは棚卸しする。この循環を回し続けます。
① 個人で試す
自分の置き場で検証
~/.claude/skills に置いて、自分の作業で発火と効き目を確かめる。
② 共有する
リポジトリに移す
.claude/skills に移してコミット。そのリポジトリで作業する全員に届く。
③ レビューで磨く
差分で改善を回す
プルリクエストで手順の妥当性を確認。気づきを差分として共有する。
④ 棚卸しする
効かないものは外す
使われていないスキルを定期的に外し、発火の判断を濁らせない。
- ✓ レビューでは手順の妥当性だけでなく、descriptionの発火条件(いつ効くべきか)も見る
- ✓ Codexを使うメンバーがいるなら、Codexの読み込み先にも同じスキルが届くようにする
- ✓ 効果は『同じ作業を頼んで品質が毎回そろうか・手戻りが減るか』で見極める
スキルはコードと同じくレビューと棚卸しの対象にします。リポジトリで共有し、レビューで質を保ち、使われ方を見て足し引きします。この回し方ができていると、良い手順が自然に全員へ広がり、ブレていた作業の品質がそろっていきます。
どのスキルを入れて、どう探し、安全に運用するかという「入れる側」の整理は、Claude Code・Codexのおすすめスキル|探し方・選び方・入れ方と定番スキル集にまとめています。自作と外部スキルの併用を考えるときは、あわせてご覧ください。
09.よくある質問(FAQ)
スキルとプロンプトの定型文(テンプレ)は、何が違うのですか?
いちばんの違いは「呼び出し方」です。プロンプトの定型文は、使うたびに人が貼り付ける必要があります。スキルは、先頭に書いた説明文(description)をエージェントが読み、関係する作業のときだけ自動で本文を読み込みます。つまりスキルは、貼り忘れても効く定型文のようなものです。さらにフォルダ単位なので、手順書だけでなく補助スクリプトや参照資料も一緒に渡せ、リポジトリに置けばチーム全員が同じ前提で使えます。毎回貼る手間と貼り忘れがなくなることが、チームに広げるうえでも大きな差になります。
スキルを作るには、SuperpowersのようなフレームワークやSkill Creatorが必要ですか?
必須ではありません。スキルの実体は、nameとdescriptionを先頭に書いたSKILL.mdというテキスト1枚なので、エディタだけでも手書きできます。一方で、これらは雛形づくりや型の取り込みを楽にしてくれるので、使うと作成は速くなります。公式のSkill Creatorは雛形づくりからdescriptionの最適化までを対話で手伝う道具、Superpowersは開発の型をまとめて配るスキル集で、スキルを書くためのスキルも含みます。Codexなら$skill-creatorとRecord & Replayが本体に組み込まれています。弊社でも、ローカルではSuperpowersを使っており、スキルを作ろうとするとそのスキル作成機能が発火して雛形を助けてくれます。ただし最終的な成果物は、自社の作業に合わせて手で整えたSKILL.mdです。まずは小さく1本作り、補助が欲しくなったら足す、という順番で十分です。
作ったスキルが、思ったとおりに自動で発火しません。どう直せばよいですか?
発火しない原因の多くは、descriptionが曖昧なことです。エージェントは、いまの作業内容と各スキルのdescriptionを照らし合わせ、関係しそうなときだけ読み込みます。そのため「何をするか」だけでなく「どんなときに使うか(発火条件)」と、その作業で実際に出てくる具体的な言葉を書くと安定します。1スキル1目的に絞り、似た用途のスキルを減らして競合をなくすことも有効です。それでも呼ばれないときは、Claude Codeなら/スキル名、Codexなら$スキル名で手動で呼び出せます。Claude Codeはスキルのフォルダを監視しているので、descriptionの編集は同じセッションの中で反映されます。
Claude Codeで作ったスキルを、そのままCodexでも使えますか?
ファイルの書式(SKILL.mdにnameとdescriptionを書く形式)はClaude CodeとCodexで共通なので、中身はそのまま流用できます。ただし、ツールがスキルを読み込むフォルダの場所は異なります。Claude Codeは利用者ごとの置き場(~/.claude/skills)やリポジトリ内(.claude/skills)を読み、Codexはリポジトリやユーザーごとの別フォルダ(.agents/skills や ~/.agents/skills)を読みます。片方に置けば両方に反映される公式の共有の仕組みがあるわけではないので、同じスキルを両ツールで使うときは、それぞれの読み込み先に配置します。1つの置き場を両ツールから参照させる運用は、symlink(ショートカットのような参照)で実現する例もあります。
作ったスキルは、claude.ai(Web版・デスクトップ版)でも使えますか?
使えます。Anthropicのヘルプセンター(Creating custom skills)によると、スキルのフォルダをZIPにまとめてclaude.aiにアップロードし、設定のスキル欄で有効化すると、Web版・デスクトップ版のチャットでも同じスキルが効きます(無料プランを含む各プランで利用可。コード実行機能の有効化が前提)。書式は本記事と同じSKILL.mdですが、claude.aiではnameは64文字以内・descriptionは200文字以内という制限があります。Claude Codeで育てたスキルを、エンジニア以外のメンバーにはclaude.ai経由で配る、という広げ方もできます。
10.スキルづくりを自社の開発・運用に落とし込む
スキルづくりは、よく繰り返す作業を小さく手書きし、descriptionで狙いどおり呼び出させ、使いながら育てる、という3段で回せます。エディタひとつで今日から始められて、まず自分の繰り返し作業が楽になり、リポジトリに置けばそのままチームの標準になっていきます。この積み上げが、スキルを自作するいちばんの価値です。
とはいえ、どの作業をスキルにすべきか、発火条件をどう書き分けるか、Claude CodeとCodexをまたいでどう配り、どこまで自動実行を許すかは、チームの開発フローや扱うデータによって変わります。弊社では、AIをフル活用した開発・運用の体制づくりを、課題の洗い出しからスキルの設計・自作、チームへの定着までを伴走して支援しています。Claude CodeやCodexのスキルを自社にどう根づかせるかでお悩みの場合は、お気軽にお問い合わせください。
コーディングエージェントのスキル設計・定着を伴走します
Claude CodeやCodexで、自社の手順をスキル化し、狙った場面で確実に効くようにし、チームに定着させるところまでを実務で伴走しています。どの作業から始めるかの見極めから、お気軽にお問い合わせください。

