AI × 開発効率化Anthropic / 2026年6月

Anthropic 2026年6月発表まとめ|Fable 5・Mythos 5と未発効の課金案


2026 年 6 月の Anthropic の主な発表をまとめます。6 月 9 日に一般公開された Claude Fable 5 は、約 96 時間後に Mythos 5 とともに一時停止しましたが、7 月 1 日に Fable 5 は全世界向け、Mythos 5 は米国内の一部組織向けに再開しました。性能・料金・安全性分類器・Mythos 5 との違いと、未発効の課金変更に関する訂正を扱います。

公開2026.06.10
最終更新2026.07.27
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AI × 開発効率化Anthropic / 2026 年 6 月

Anthropic 2026年6月
発表まとめ

C
本記事の結論
2026 年 6 月は「Mythos 級の能力を、セーフガード付きで一般公開した」月

6 月 9 日(米国時間)、Anthropic は新モデルClaude Fable 5を一般公開しました。一般提供(GA: General Availability)されたモデルとしては Anthropic 史上最高の能力を持つ Mythos 級のモデルで、 SWE-bench Verified 95.0%・SWE-bench Pro 80.3% と公表されています。 サイバーセキュリティ・生物学/化学・蒸留(distillation)に関わるリクエストは、 分類器(classifier)が検知して Claude Opus 4.8 が代わりに応答する設計で、 能力の開放と悪用リスクの抑制を両立させる構成です。

同日には、同じ能力を分類器なしで提供する Claude Mythos 5 の限定提供 (Project Glasswing の承認顧客向け)も始まりました。 Claude Code は v2.1.170 以降で /model fable により Fable 5 を選択でき、 分類器が反応したリクエストは Opus 4.8 で自動的に再実行されます。 Fable 5 はどのプランでも既定モデルにはならず、明示的に選んだときだけ使われます。

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重要な続報(2026年7月27日時点)
Fable 5 / Mythos 5 は公開から約96時間で一時停止(米政府の指示)

本記事は当初、6 月 9 日の一般公開を前提に書いていますが、その後、Fable 5 と Mythos 5 は公開から約 96 時間でオフラインになりました。Fable 5 で見つかったジェイルブレイク(制限回避)の懸念を理由に、米政府の輸出関連の指示が出されたためで、 外国籍ユーザー(外国籍の従業員を含む)へのアクセス停止を含む措置でした(InfoQCapacity)。Anthropic は「狭いジェイルブレイクの可能性が、数億人に提供中の商用モデルを回収する理由になるべきではない」と異議を示しています。 ホワイトハウスの AI 担当 David Sacks 氏は、Anthropic が問題を是正し輸出規制が解除されれば一般提供へ戻すのが狙いだと述べています(TechCrunch)。2026 年 6 月末時点では提供が再開されていませんでしたが、2026 年 7 月 1 日には、Fable 5 が全世界のユーザー向け、Mythos 5 が米国内の一部組織向けに再開されていますAnthropic 公式発表)。以下の本文(性能・料金・セーフガード・Claude Code での利用)は、この一時停止前の内容として、 再開後も同じ仕様が維持されています。再開の詳細・新しい安全性分類器・7 月 24 日公開の 新モデル Claude Opus 5 は、Anthropic 2026年7月発表まとめで整理しています。

本記事はもう 1 点訂正があります。下記で「6 月 15 日に施行」と紹介した課金変更は、 実際には施行前に一時停止されていました。詳細は本文後半の該当セクションで説明しています。

01.結論:2026年6月の Anthropic 動向ハイライト

2026 年 6 月の Anthropic は、4 月の Claude Mythos Preview 以来、 能力の高さを理由に一般公開が見送られてきた Mythos 級モデルを、 セーフガード付きの Claude Fable 5 として一般公開する、大きな方針転換の月になりました。 本記事は 6 月単月の発表を一覧で押さえる位置づけです。

まず 6 月の主要トピックを並べると次のとおりです。

時期出来事ハイライト
2026 年 6 月中旬Fable 5 / Mythos 5 が一時停止公開から約 96 時間後、ジェイルブレイクの懸念を理由とする米政府の輸出関連の指示で オフラインに。外国籍ユーザーへのアクセス停止を含み、6 月末時点では再開されていませんでした
2026 年 6 月 15 日(施行予定・未発効)プログラム利用の課金案を一時停止Agent SDK・claude -p・Claude Code GitHub Actions などを、サブスクの利用枠と別の 月次クレジットへ移す案でしたが、施行前に一時停止されました(出典:Anthropic 公式ヘルプ
2026 年 6 月 9 日Claude Fable 5 一般公開Mythos 級の能力を分類器付きで開放。SWE-bench Verified 95.0%。Claude API・Amazon Bedrock・ Vertex AI・Microsoft Foundry で同日提供し、Claude アプリの各プランへは段階展開(出典:Anthropic 公式発表
2026 年 6 月 9 日Claude Mythos 5 限定提供Fable 5 と同じ能力を分類器なしで提供。Project Glasswing の承認顧客限定で、 Claude Mythos Preview の後継
2026 年 6 月 9 日Claude Code が Fable 5 に対応v2.1.170 以降で /model fable。既定モデルにはならず、分類器が反応した場合は Opus 4.8 へ自動フォールバック
2026 年 6 月 9 日GitHub Copilot などサードパーティでも提供開始GitHub Copilot で一般提供(GitHub 公式チェンジログ)、Databricks の Unity AI Gateway 経由でも同時提供(Databricks 公式ブログ

02.Claude Fable 5:Mythos 級モデルの一般公開(6/9)

Anthropic は公式発表「 Claude Fable 5 and Claude Mythos 5 」で、Claude Fable 5 を「これまで一般公開した中で最も能力の高いモデル」と位置づけています。 ソフトウェアエンジニアリング・ナレッジワーク・画像理解・科学研究・長文コンテキスト処理の各分野で、 既存の一般提供モデルを上回るとしています。 複雑な問題に数日単位で取り組み続けられる自律性も特徴として挙げられており、 コーディングに限らず、金融・リサーチ・経済分析・法務のような 長時間の知的作業を任せる用途が想定されています。

仕様の数値は Claude API 公式ドキュメント「Introducing Claude Fable 5 and Claude Mythos 5」によると次のとおりです。

項目内容
公開日2026 年 6 月 9 日(米国時間)
位置づけMythos 級。一般提供モデルとしては Anthropic 史上最高の能力
モデル IDclaude-fable-5
コンテキストウィンドウ既定で 100 万トークン。最大出力は 1 リクエストあたり 12.8 万トークン
料金100 万トークンあたり入力 $10・出力 $50(Mythos 5 も同額)
思考モードadaptive thinking(タスクに応じて思考量を自動調整)が常時有効で、無効化は不可。 思考の深さは effort パラメータで制御
提供チャネルClaude API・Claude Platform on AWS・Amazon Bedrock・Google Vertex AI・Microsoft Foundry で一般提供。Claude アプリでは Pro / Max / Team / Enterprise プランへ段階展開
データ保持Covered Model(利用データの保持が義務付けられる対象モデルの指定)にあたり、30 日間のデータ保持が必須。 ゼロデータリテンション(保持期間ゼロ)契約では利用不可(データ保持の公式ドキュメント

Claude アプリの有料プラン(Pro / Max / Team / Enterprise)では、 2026 年 6 月 9 日のローンチ発表 によると 6 月 22 日まで追加費用なしで Fable 5 が含まれ、 以降は利用量に応じた usage credits ベースに移行すると案内されています。 標準料金は入力 $10・出力 $50 と、Opus 4.8(入力 $5・出力 $25)のちょうど 2 倍にあたります。 100 万トークンのコンテキストウィンドウを長時間の自走で使い切るような運用では トークン消費も大きくなるため、後述の Claude Code での利用と合わせて、 上限アラートを設定してから試すのがおすすめです。

図:Fable 5 と Opus 4.8 の API 標準料金(100 万トークンあたり)

  • Fable 5|出力
    $50
  • Opus 4.8|出力
    $25
  • Fable 5|入力
    $10
  • Opus 4.8|入力
    $5
入力・出力とも Fable 5 は Opus 4.8 の 2 倍の単価です。

03.ベンチマーク:SWE-bench Verified 95.0%・SWE-bench Pro 80.3%

Anthropic 公式発表 が公表した主なベンチマークは次のとおりです。とくにコーディング系の伸びが大きく、VentureBeatは SWE-bench Pro で次点モデルに 11 ポイント以上の差をつけたと報じています。

ベンチマークClaude Fable 5比較(Anthropic 公表値)
SWE-bench Verified(GitHub Issue 解決)95.0%Claude Opus 4.8 は 88.6%
SWE-bench Pro(より難しい設定)80.3%GPT-5.5 は 58.6%、Opus 4.8 は 69.2%
Terminal-Bench 2.1(コマンドライン操作)88.0%
OSWorld-Verified(コンピュータ操作)85.0%Opus 4.8 は 83.4%、GPT-5.5 は 78.7%
Humanity's Last Exam(多分野推論)59.0%(ツールなし)/ 64.5%(ツールあり)

図:SWE-bench Verified(GitHub Issue 解決)の比較

数値は各モデル発表時の Anthropic 公表値

  • Claude Fable 5
    95.0%
  • Claude Opus 4.8
    88.6%
  • Claude Opus 4.7
    87.6%
出典:Fable 5 は Anthropic 公式発表、Opus 4.8 は Opus 4.8 公式発表、Opus 4.7 は Opus 4.7 公式発表

図:SWE-bench Pro(より難しい設定)の比較

数値は Anthropic 公式発表の公表値(GPT-5.5 は同発表内の比較値)

  • Claude Fable 5
    80.3%
  • Claude Opus 4.8
    69.2%
  • GPT-5.5
    58.6%
出典: Anthropic 公式発表 。

SWE-bench Verified では、直近の Claude Opus 4.7(87.6%)・Opus 4.8(88.6%)の スコアが 88% 前後にとどまっていたのに対し、Fable 5 は 95.0% まで一気に伸びています。 歴代 Claude モデルの SWE-bench Verified スコア推移は、Claude・Claude Code 進化の年表にチャートでまとめています。 なお、ベンチマークはいずれも Anthropic 公表値で、外部の独立検証値ではない点には注意が必要です。

以下のベンチマーク図は、いずれも Anthropic 公式発表から引用したものです。 まず Anthropic が公開した総合比較表では、Claude Mythos 5 / Fable 5 が コーディング・ナレッジワーク・コンピュータ操作・法務・多分野推論など、 ほぼすべての項目で Claude Opus 4.8・GPT-5.5・Gemini 3.1 Pro を上回っています。 表中で星(*)が付いた項目は、サイバーセキュリティ・生物学関連のセーフガードにより Fable 5 ではフォールバックが働き、スコアが Opus 4.8 寄りになる点を示しています。

Claude Mythos 5 / Fable 5 と Opus 4.8・GPT-5.5・Gemini 3.1 Pro の総合ベンチマーク比較表
図:Claude Mythos 5 / Fable 5 の総合ベンチマーク比較。星(*)付きはセーフガードでフォールバックが働く項目。

コーディングに絞ると、SWE-bench Pro(80.3%)と、より難しい FrontierCode(29.3%)の どちらでも Opus 4.8・GPT-5.5 を大きく引き離しています。

SWE-Bench Pro と FrontierCode における Claude Fable・Opus 4.8・GPT-5.5 の成功率比較
図:Agentic coding(SWE-Bench Pro / FrontierCode)の成功率比較。

Anthropic は、コストと精度のトレードオフも公開しています。FrontierCode(最難の 50 問)では、 Fable 5 が effort(low から max)を上げるほどスコアが伸び、同じコスト帯でも Opus 4.8・GPT-5.5 より高い精度に届いています。難所だけ effort を上げて Fable 5 に任せる、 という使い方の根拠になる図です。

FrontierCode における精度とタスクあたりコストの関係(Claude Fable 5・Opus 4.8・GPT-5.5)
図:FrontierCode の精度 vs コスト(effort 別、横軸はタスクあたりコストの対数スケール。出典:Anthropic 公式発表)。

04.セーフガード:高リスク領域は Claude Opus 4.8 が応答

Fable 5 の最大の特徴は、能力そのものより「能力をどう安全に開放するか」の設計にあります。 Anthropic は、本体モデルとは別の AI システム群である分類器(classifier)を常時並走させ、ジェイルブレイク(制限回避)の試行を含む悪用の兆候を検知します。 分類器が次の領域に関わるリクエストを検知すると、そのリクエストにはFable 5 ではなく Claude Opus 4.8 が自動的に応答します。

  • サイバーセキュリティ(脆弱性の発見・悪用につながる領域)
  • 生物学/化学(危険物質の合成などにつながる領域)
  • 蒸留(distillation:モデルの出力を大量収集して競合モデルの学習に使う行為。 Anthropic は過去に大規模な蒸留の試みを検知したと、 今回の発表 の中で公表しています)
図:Claude Fable 5 のセーフガードの流れ(リクエストごとに分類器が検査)

ユーザーのリクエスト

STEP 1 | 全 PR 共通

AI 一次レビュー

本体モデルとは別の分類器(classifier)群が、悪用の兆候やジェイルブレイクの試行を検査

STEP 2 | リスクゲート

人間も追加で見るかを判定

高リスク領域(サイバーセキュリティ・生物学/化学・蒸留)に該当するか

該当なし

Fable 5 が応答

95% 以上のセッションはこちらで完結(Anthropic の初期データ)

該当あり

Claude Opus 4.8 が応答

リクエスト単位で自動的に切り替え。API では stop_reason: refusal とフォールバック設定で制御できる

分類器の判定はリクエスト単位で行われ、出力前に拒否されたリクエストは課金されません。

Anthropic 公式発表 によると、初期データでは 95% 以上のセッションが Opus 4.8 への切り替えなしに Fable 5 だけで完結しています。また、公開前には外部バグバウンティで 1,000 時間を超えるテストが行われ、どの安全策も一括で無効化できる 「ユニバーサルジェイルブレイク」は発見されなかったとしています。 Anthropic は現状のセーフガードを「広め(broad)に設定している」と認めたうえで、 安全なリクエストを通しやすくする改善を続けると説明しています。

API 連携で実装に関わる挙動は、 Claude API 公式ドキュメント に整理されています。

項目挙動
拒否時のレスポンスエラーではなく HTTP 200 で stop_reason: "refusal" を返す。 どの分類器が拒否したかもレスポンスで確認できる
フォールバックfallbacks パラメータを渡すと、拒否時に API 側で別モデルへの再実行まで行う (Claude API / Claude Platform on AWS でベータ提供)。クライアント側で再実行する SDK ミドルウェアも TypeScript / Python / Go / Java / C# で提供
課金出力前に拒否されたリクエストは課金されない。別モデルで再実行する際は、プロンプトキャッシュの切り替えコストを相殺する fallback credit が適用される

セーフガードの効果は、Anthropic 公開のサイバー評価図に表れています。 自動レッドチーミング(自動化した攻撃側の試行)でのタスク完了率を見ると、 分類器なしの Opus 4.6〜4.8 が 56〜83% に達するのに対し、 分類器ありの Fable 5 は 5.4% まで下がっています。 攻撃に転用しうる能力を、出力段階で大きく抑えていることが読み取れます。

自動レッドチーミングでのサイバー攻撃タスク完了率(Opus 4.6・4.7・4.8 と Claude Fable 5 の比較)
図:自動レッドチーミング下での攻撃タスク完了率。分類器ありの Fable 5 は 5.4% に低下。

個別のサイバー評価でも同じ傾向です。Firefox・OSS-Fuzz・CyberGym などの攻撃的評価で、 分類器なしの Claude Mythos 5・Mythos Preview が高いスコアを出す一方、 Fable 5 はいずれも 0.0% で、これらの領域では応答自体がフォールバックされていることが分かります。

攻撃的サイバー評価における各モデルの成功率(Claude Mythos 5・Mythos Preview・Opus 4.8・Fable)
図:攻撃的サイバー評価の成功率。Fable 5 はいずれも 0.0%。

05.Claude Mythos と Fable の違い:分類器の有無と提供範囲

Fable 5 と同日に、Claude Mythos 5の限定提供も始まりました。2 つは同じ Mythos 級の能力を持つモデルで、 違いは本体の性能ではなく、安全分類器の有無と、誰がどこで使えるかにあります。 Claude API 公式ドキュメント によると、両者の違いは次のとおりです。

項目Claude Fable 5Claude Mythos 5
能力Mythos 級(2 つは同じ能力)Mythos 級(2 つは同じ能力)
安全分類器あり。サイバーセキュリティ・生物学/化学・蒸留は Opus 4.8 が応答なし
提供範囲一般提供(Claude API・Claude アプリ・Amazon Bedrock・Vertex AI・Microsoft Foundry)限定提供。Project Glasswing の承認顧客(サイバーセキュリティ用途)と、今後は一部の生物学研究者(生物学/化学用途)
モデル IDclaude-fable-5claude-mythos-5
料金100 万トークンあたり入力 $10・出力 $50Fable 5 と同額
位置づけ一般公開向けの Mythos 級モデルClaude Mythos Preview の後継

Mythos 5 のアクセスには Anthropic・AWS・Google Cloud のアカウントチーム経由の申請が必要で、 より広い対象に向けた trusted access program(信頼ベースの利用申請制度)の整備が進むまで、 この限定提供が続くと案内されています。 つまり「最高性能のモデルを使いたいだけなら Fable 5、 高リスク領域を含む正当な業務で分類器なしの能力が必要な組織は Mythos 5 を申請する」 という住み分けです。

経緯を振り返ると、2026 年 4 月 8 日に限定公開された Claude Mythos Preview は、 主要 OS・ブラウザ全域で数千件のゼロデイ脆弱性を自律的に発見する能力が確認されたため、 一般公開が見送られたモデルでした。Anthropic はその能力をまず防衛側(blue team)に振り向け、 攻撃に悪用される前に脆弱性を修正する Project Glasswing を進めてきました。 今回の発表は、その間に開発したセーフガードを実装することで、 同じ系統の能力を Fable 5 として一般公開できるようになった、という位置づけです。 Mythos Preview と Project Glasswing の詳細は、Anthropic 2026年5月発表まとめで扱っています。

この住み分けが効くのが生物学のような専門領域です。Anthropic が公開した ウイルスのカプシド(殻)に関する実験的性質の予測では、分類器なしの Claude Mythos 5 が Opus 4.8 や Mythos Preview を上回るスコアを示しています。 Fable 5 では同種のリクエストがフォールバック対象になるため、 こうした正当な研究用途で分類器なしの能力が必要な場合に、Mythos 5 の申請が選択肢になります。

ウイルスのカプシドに関する実験的性質予測のスコア(Claude Opus 4.8・Mythos Preview・Mythos 5)
図:生物学タスク(ウイルスのカプシド性質予測)のスコア。分類器なしの Mythos 5 が最も高い。

06.Claude Code での Fable 5:/model fable と自動フォールバック

Claude Code では、公式ドキュメント(model configuration)によると v2.1.170 以降で Fable 5 を利用できます。/model fable で切り替えるほか、best エイリアスを指定すると、 組織に Fable 5 へのアクセスがあれば Fable 5、なければ最新の Opus が選ばれます。 どのプラン・アカウント種別でも既定モデルにはならず、 明示的に選んだときだけ使われる設計です。effort の既定は high で、 Opus 4.8 と同じく low から max までを切り替えられます。

公式ドキュメントは、Fable 5 を「1 回の作業セッションに収まらない規模のタスク向け」と位置づけ、 次のような使い方を推奨しています。

  • 手順ではなく成果物を渡す:欲しい結果を伝えて経路は任せる。完了まで走らせたい場合は /goal と組み合わせる
  • 曖昧な問題を任せる:根本原因の調査、障害デバッグ、アーキテクチャ判断など、 着手前の調査と検証が効くタスクに向く
  • 検証のリマインダーは省く:自分の作業を確認する頻度が高いため、 「テストして」「確認して」の指示は通常不要
  • タスクを分割しすぎない:普段なら分割する規模の作業も、 長いセッションで文脈を保ったまま進められる

セーフガードは Claude Code 上でも同じように働きます。分類器がリクエストを検知すると、 Anthropic API では Opus 4.8、Claude Platform on AWS では Opus 4.7 で当該リクエストを再実行し、 トランスクリプトに通知を表示します。フォールバック後のセッションはそのまま Opus 側で継続されるため、 Fable 5 に戻すには再度 /model fable を実行します。 自動で切り替えず、都度確認してから切り替える設定(/config の 「switch models when a message is flagged」をオフ)も用意されています。

図:Claude Code で Fable 5 を使うときの流れ(自動フォールバックを含む)
  1. 1
    /model fable で切り替える

    v2.1.170 以降で選択できます。どのプランでも既定モデルにはならないため、明示的に選びます。

  2. 2
    通常のリクエストは Fable 5 が応答

    長時間の自走を想定し、着手前の調査と自分の作業の検証を他のモデルより頻繁に行います。

  3. 3
    分類器が検知したリクエストは Opus が再実行

    Anthropic API では Opus 4.8、Claude Platform on AWS では Opus 4.7 で当該リクエストを再実行し、トランスクリプトに通知を表示します。

  4. 4
    フォールバック後は Opus 側で継続

    Fable 5 に戻すには再度 /model fable を実行します。設定で「切り替え前に確認する」挙動にも変更できます。

セキュリティ・生物学系の作業ではフォールバックが頻発します(詳細は下の注意を参照)。

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運用上の注意
セキュリティ・生物学系の作業ではフォールバックが頻発する

ペネトレーションテスト・CTF(Capture the Flag)演習・生物学系コードベースなど、 検知対象の領域に関わる作業では、フォールバックが初回リクエストから頻発します。 セッションの最初のリクエストには CLAUDE.md や git の状態などの作業ディレクトリ情報が含まれるため、 リポジトリの内容だけで分類器が反応することもあります。 公式ドキュメントはこれをアカウントへの警告ではなく想定どおりの挙動と説明しており、 切り分けには、CLAUDE.md・Skills・MCP サーバーなどのカスタマイズ設定を無効化して起動する claude --safe-mode が使えます。 この領域で Fable 級の能力が必要な組織向けには、trusted access program への問い合わせが案内されています。

07.6月15日「施行予定」だった課金変更:発効前に一時停止(訂正あり)

6 月のもう 1 つの大きな動きとして、6 月 15 日に施行予定の有料プラン (Pro / Max / Team / Enterprise)の課金変更を紹介していました。発表自体は 5 月 13 日(米国時間)に 開発者向け公式アカウントで行われたもので(@ClaudeDevs の発表ポスト)、これまでサブスクリプションの利用枠を消費していたプログラム経由の利用を、サブスクの利用枠と別の月次クレジットに分離するという内容でした。ただし Anthropic 公式ヘルプ「Use the Claude Agent SDK with your Claude plan」 を確認したところ、この変更は施行前に一時停止されており、2026 年 7 月 27 日時点でも発効していません。現在も Agent SDK・claude -p・サードパーティ製アプリの利用は、 従来どおりサブスクリプションの利用枠から消費されます。以下は採用されなかった案の内容です。

  • Claude Agent SDK を使った自作のアプリ・エージェント
  • claude -p(Claude Code をスクリプトやパイプラインから 非対話で呼び出すヘッドレスモード)
  • Claude Code GitHub Actions(CI などでの自動実行)
  • OpenClaw のような、Agent SDK 経由で動くサードパーティ製エージェント(VentureBeatによると、一度サブスクでの利用が制限されたサードパーティ製エージェントを、 このクレジット枠で再び許可する位置づけでした)

一時停止された案では、プラン別の月次クレジットを次のように設定し、 消費を API 標準単価で計算する予定でした(The Decoder)。クレジットはユーザー単位で付与し、組織内での共有・合算や 翌月への繰り越しを認めない設計でした。

プラン一時停止された案の月次クレジット
Pro$20 相当 / 月
Max 5x$100 相当 / 月
Max 20x$200 相当 / 月
Team(プレミアムシート)$100 相当 / 月・席
Enterprise(プレミアムシート)$200 相当 / 月・席

この案では、Team / Enterprise の標準シートにクレジットを付与せず、 プログラム利用を続ける場合は API キーを使うか、プレミアムシートへ変更する想定でした。 また、クレジットを自動で有効にせず、対象ユーザーがメールの案内に沿って、初回に一度受け取り手続きを行う仕組みが予定されていました。受け取り後は請求サイクルごとに自動更新する案でした。

一方、案では対話型の利用はこれまでどおりサブスクの利用枠のままとされていました。ターミナルで対話的に使う Claude Code、claude.ai (Web・デスクトップ・モバイル)のチャット、Claude Cowork は対象外で、 従来の利用上限から消費する想定でした(InfoWorld)。

案で示されたクレジットを使い切った後は、公式ヘルプ「Manage extra usage for paid Claude plans」の超過利用(extra usage)設定に応じて、オンなら API 標準単価の従量課金で継続し、 オフならプログラム利用を停止して次の請求サイクルを待つ想定でした。

08.これからの要チェックポイント

2026 年 6 月時点で、今後の続報を確認したいポイントは次のとおりです。

  • セーフガードの精緻化: Anthropic は現状のセーフガードを「広め」と認めており、安全なリクエストを通しやすくする改善を予告しています。 正当なセキュリティ研究・防御目的の作業がどこまで Fable 5 で通るようになるか
  • trusted access program の展開: Mythos 5 の対象が Project Glasswing の承認顧客と一部生物学研究者から、どの範囲・どの審査基準で広がるか
  • プログラム利用クレジットの再提案: 一時停止された月次クレジット案が、いつ・どのような形で再提案されるか。 Anthropic は事前告知を約束しています
  • Opus / Sonnet / Haiku 系列との並走: Fable 5 は既定モデルにならず、Claude Code の既定は引き続き Opus 4.8 / Sonnet 4.6 です。 4.x 系列の更新が続くのか、5 世代への移行が他のサイズにも広がるのか
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09.よくある質問(FAQ)

Claude Fable 5 とは何ですか?いつから使えますか?

Claude Fable 5 は 2026 年 6 月 9 日(米国時間)に Anthropic が一般公開した、 Mythos 級の能力を持つモデルです。一般提供されたモデルとしては Anthropic 史上最高の能力とされ、 SWE-bench Verified 95.0% を公表しています。公開から約 96 時間後、Fable 5 で見つかったジェイルブレイクの懸念を理由とする 米政府の輸出関連の指示により、Mythos 5 とともにオフラインになりましたが、2026 年 7 月 1 日に全世界のユーザー向けへ全面的に再開されています。モデル ID は claude-fable-5 です。

Fable 5 のセーフガードはどのように動きますか?

本体モデルとは別の分類器(classifier)がリクエストを常時検査し、 サイバーセキュリティ・生物学/化学・蒸留(distillation)に関わるリクエストを検知すると、 Fable 5 ではなく Claude Opus 4.8 が自動的に応答します。 Anthropic の初期データでは 95% 以上のセッションが切り替えなしに Fable 5 だけで完結しています。 API では拒否時に stop_reason: "refusal" が返り、fallbacks パラメータで別モデルへの自動再実行も設定できます。

Claude Fable 5 と Claude Mythos 5 の違いは何ですか?

2 つは同じ能力のモデルで、違いは安全分類器の有無と提供範囲です。 Fable 5 は分類器付きで一般提供され、高リスク領域のリクエストは Opus 4.8 に応答させます。 Mythos 5 は分類器なしの限定提供で、Project Glasswing の承認顧客(サイバーセキュリティ用途)と、 今後は一部の生物学研究者(生物学/化学用途)が対象です。 料金はどちらも 100 万トークンあたり入力 $10・出力 $50 です。

Fable 5 の料金はいくらですか?

API の標準料金は 100 万トークンあたり入力 $10・出力 $50 で、 Opus 4.8(入力 $5・出力 $25)の 2 倍です。 コンテキストウィンドウは既定で 100 万トークン、最大出力は 12.8 万トークンです。 Claude アプリの有料プラン(Pro / Max / Team / Enterprise)では 6 月 22 日まで追加費用なしで含まれ、 以降は usage credits ベースに移行すると案内されています。

Claude Code で Fable 5 を使うにはどうすればよいですか?

Claude Code v2.1.170 以降で /model fable を実行すると切り替えられます。best エイリアスを指定すると、組織に Fable 5 へのアクセスがあれば Fable 5、 なければ最新の Opus が選ばれます。Fable 5 はどのプランでも既定モデルにはならないため、 明示的に選ぶ必要があります。分類器が反応したリクエストは Opus 4.8 (Claude Platform on AWS では Opus 4.7)で自動再実行され、セッションはそのまま Opus 側で継続されます。

Fable 5 と Opus 4.8 はどう使い分ければよいですか?

公式ドキュメントは、Fable 5 を「1 回の作業セッションに収まらない規模のタスク向け」と位置づけています。 根本原因の調査・障害デバッグ・アーキテクチャ判断のような、 着手前の調査と検証が効く曖昧な問題に向きます。 日常のコーディングは既定の Opus 4.8 / Sonnet 4.6 のままにし、 料金が 2 倍であることを踏まえて、長時間の自走や難しい調査だけ Fable 5 に切り替える運用から 始めるのがおすすめです。

2026 年 6 月 15 日の Claude の課金変更では何が変わりますか?

何も変わっていません。当初は、Claude Agent SDK・claude -p(ヘッドレスモード)・Claude Code GitHub Actions などのプログラム利用を、 サブスクリプションの利用枠から分離し、プラン別の月次クレジット (Pro $20・Max 5x $100・Max 20x $200 など)で管理する変更が 6 月 15 日に 施行される予定でした。しかし Anthropic 公式ヘルプ によると、この変更は施行前に一時停止されており、2026 年 7 月 27 日時点でも発効していません。 Agent SDK・claude -p の利用は、従来どおりサブスクリプションの利用枠から消費されます。

claude -p を自動化に使っていると、高額請求が発生しますか?

6 月 15 日に予定されていた課金変更(プログラム利用を月次クレジットに分離する変更)は 施行前に一時停止されており、2026 年 7 月 27 日時点でも発効していません。そのため、 cron や CI から claude -p を定期実行している場合も、消費は従来どおり サブスクリプションの利用枠から引かれ、この変更を理由に高額請求が発生する状態には なっていません。Anthropic はプランを見直し、変更前に事前告知するとしています。

10.まとめ

2026 年 6 月の Anthropic は、Claude Fable 5 の一般公開により、 「最高能力のモデルは限定公開、一般提供は一段下の世代」という 4 月以来の構図を転換しました。 SWE-bench Verified 95.0%・SWE-bench Pro 80.3% という性能を、 サイバーセキュリティ・生物学/化学・蒸留の 3 領域だけ Opus 4.8 に応答させる 分類器付きで開放し、分類器なしの Claude Mythos 5 は Project Glasswing の 承認顧客向け限定提供にとどめる、という二段構えです。

ただし、この一般公開は長続きしませんでした。Fable 5 と Mythos 5 は公開から約 96 時間後、 Fable 5 で見つかったジェイルブレイクの懸念を理由とする米政府の輸出関連の指示により オフラインになりました。約 3 週間の一時停止を経て、2026 年 7 月 1 日には Fable 5 が全世界のユーザー向け、Mythos 5 が米国内の一部組織向けに再開しています。 本記事の性能・料金・セーフガードの記述は、Fable 5 の再開後も同じ仕様で維持されています。

Claude Code では v2.1.170 以降の /model fable で利用でき、 数日単位の自走を想定した「成果物を渡して任せる」使い方が推奨されています。 一方で料金は Opus 4.8 の 2 倍(入力 $10・出力 $50)で、 既定モデルには据えられていないため、長時間タスクや難しい調査だけ Fable 5 に切り替える運用から始めるのがおすすめです。

また 6 月 15 日には、Agent SDK・claude -p・Claude Code GitHub Actions などのプログラム利用を、サブスクの利用枠と別の月次クレジットに分離する 課金変更が施行される予定でした。ただし前述の訂正のとおり、この変更は施行前に 一時停止されており、2026 年 7 月 27 日時点でも発効していません。

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澤田 翔太(Shota Sawada)
この記事を書いた人

澤田 翔太

株式会社クリプタル 代表取締役

1988年生まれ、慶應義塾大学卒。創業メンバーとして関わった株式会社セールスサポートを株式会社ネオマーケティング(東証STD 4196)に売却。株式会社クリプタルでも複数の事業立ち上げと売却を経験し、2022年9月には婚活・恋愛メディア「シッテク」「婚活会議」を株式会社ベビーカレンダー(東証GRT 7363)へ売却。現在はAI業務支援事業、TANTOU事業、グロースハック支援事業、メディア事業、SEOコンサルティング事業を手がける。