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Vertex AIのマーケティング活用事例|広告・SEO・記事制作の公開事例まとめ


Vertex AIをマーケティングで活用し、広告、SEO、記事制作、顧客分析にどんな効果があったのかを、公開事例を横断して整理します。何をAI化したか、どんな効果が出たか、どのように自社へ応用できるかの観点でまとめています。

公開2026.05.15
最終更新2026.05.15
読了 20 分 / 約9,000字
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AI × WebマーケティングVertex AIマーケティング事例集

Vertex AI
マーケ活用事例

5秒Spotify
>3500%ROAS
8h企画短縮

本記事では、Vertex AIをマーケティングで活用してどんな効果があったのかを、公開事例を横断して整理します。広告、SEO、記事制作、顧客分析に近い実務で、何をAI化し、どんな成果が出たのか、どのように自社へ応用できるかの観点でまとめます。

基礎解説ではなく具体事例だけを扱います。Vertex AIそのものの基礎、Webマーケティングでの使いどころ、導入ロードマップは「Vertex AIとは|Webマーケティングでの活用法と広告・SEO・記事制作の始め方」で整理しています。

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本記事の結論
Vertex AIのマーケ事例は、コピー生成より『判断・検索・制作工程』の自動化に寄っています

Spotifyは広告メディアプラン作成、Berge & Meerはコンバージョン確率予測、Kraft Heinzは商品コンセプト制作、Grid Dynamicsはカタログ強化と検索改善にVertex AIを使っています。単に文章を作るのではなく、マーケティング業務の判断材料と制作工程をまとめて変えている点が共通しています。

Spotify

5〜10秒

プラン作成(15〜30分→短縮)

Berge & Meer

>3,500%

ブランド検索ROAS(広告費用対効果)。目標1,000%超

Kraft Heinz

8時間

コンセプト立ち上げ(8週間→短縮)

Grid Dynamics

86%減

ゼロ件検索(A/Bテスト)

01.事例を見る前の前提

事例の成果数値は、各社のデータ量、既存の業務フロー、広告費、商品点数、チーム体制に大きく依存します。そのため、ROASや作業時間の改善率をそのまま自社に当てはめるのではなく、「どの業務をAI化したか」「どのデータを使ったか」「人間レビューをどこに残したか」を見る方が実務に役立ちます。

見る観点確認したいこと自社での転用例
対象業務広告文生成なのか、配信対象予測なのか、検索改善なのか自社で最も工数・費用が大きい工程から選ぶ
入力データ広告実績、顧客行動、商品カタログ、ブランド資料のどれを使ったか既存データの欠損と権限を棚卸しする
出力先媒体、CRM、MA、商品DB、BI、営業支援のどこへ返したかAI出力を人が見るだけで終わらせない
評価指標ROAS、CVR、作業時間、検索離脱、カート投入率などPoC前に1〜3指標へ絞る

02.公開事例(広告・SEO・記事制作・顧客分析)

Spotify:Ads AIで広告メディアプラン作成を数秒化

Spotifyは、広告事業の複数の購入経路(Direct、Self-Serve、Programmatic)でワークフローの判断ロジックが分散していた課題に対し、GoogleのAgent Development Kit(ADK)とVertex AI上のGemini 2.5 Proを使った「Ads AI」を構築しています。Spotify Engineeringの記事では、従来15〜30分かかっていたメディアプラン作成が5〜10秒になり、20項目以上のフォーム入力が1〜3件の自然言語メッセージになったと説明されています(Spotify Engineering)。

重要なのは、Spotifyが単なる広告文生成ではなく、目標解釈、オーディエンス抽出、予算解析、スケジュール解析、過去キャンペーン実績を使った推奨生成を、複数エージェントに分解している点です。広告運用でVertex AIを使う場合も、媒体管理画面の手作業を置き換えるより、判断ロジックを共通化する「意思決定レイヤー」として設計する方が応用範囲が広くなります。

図:Spotify Ads AIの処理イメージ
1自然言語入力

広告主の目的や条件を少ないメッセージで受け取る

2目標解釈

キャンペーン目的、予算、期間、購入経路を構造化する

3専門エージェント

オーディエンス、予算、スケジュール、過去実績を分担して判断する

4メディアプラン

営業・運用担当が確認できるプラン案として返す

自社で応用する場合も、最初は1媒体・1商材のプラン作成支援に絞ると検証しやすくなります。

Berge & Meer:Vertex AIでコンバージョン確率を予測しSA360へ連携

旅行会社Berge & Meerの事例では、DigitlがGoogle AnalyticsのローデータをBigQuery経由でVertex AI Workbenchへ連携し、ユーザーごとのコンバージョン確率予測(CPP)を作成しています。予測スコアはGoogle Analytics 360のカスタムディメンションに戻され、Search Ads 360のオーディエンスへ同期されました。Digitlの公開事例では、CPPオーディエンスを使ったブランド検索キャンペーンでROASが3,500%超となり、目標ROASの1,000%を大きく上回ったとされています(Digitl事例)。

図:Berge & MeerのCPP連携パイプライン
1GA→BigQuery

Google Analyticsのローデータを蓄積する

2Vertex AI

ユーザーごとのコンバージョン確率を予測する

3GA360へ戻す

予測スコアをカスタムディメンションに同期する

4SA360で配信

高確率セグメントへ広告予算を寄せる

自社で再現する場合も、まずは会員行動・閲覧・資料請求などの一次データをBigQueryに集約する設計から始めます。

この事例は、Vertex AIを「広告文を作るAI」ではなく、ファーストパーティデータから広告配信対象を作る予測基盤として使う例です。Webマーケティングで再現するなら、会員行動、閲覧ページ、過去CV、資料請求、問い合わせ履歴をもとに、広告・メール・リターゲティングの優先度を作る流れに近いです。

Algomarketing:Gemini via Vertex AIでアカウント単位のキャンペーン入力を作る

Algomarketingの事例では、EMEAのグローバルクラウドマーケティングチームが、MarketoやCloud Connectへの統合制約を抱えながら、アカウント単位のインサイトを生成するためにGemini via Vertex AIを活用しています。公開事例では、第三者データシグナルを使って個人情報リスクを避けつつ、各アカウントの文脈に合わせたキャンペーン入力を生成し、BDR(Business Development Representative: インサイドセールス担当)チームとの連携やターゲティング精度向上を支援したと説明されています(Algomarketing事例)。

Elastiq / mktg.ai:マーケティングデータを自然言語で質問できる分析アシスタント

Elastiqはmktg.ai向けに、GeminiとVertex AIを使った「ask mktg.ai」というマーケティング分析アシスタントを開発しています。事例では、分散したクリエイティブ、キャンペーン、パフォーマンスデータをナレッジグラフに統合し、マーケターが「どのクリエイティブが夏キャンペーンで最も成果を出しているか」のように自然言語で質問できる構成が紹介されています(Elastiq事例)。

これは広告配信そのものではなく、マーケティング分析の民主化に近い事例です。Looker StudioやBIの画面を見に行く前に、キャンペーン、クリエイティブ、顧客セグメントの関係を会話で探索できるようにする発想です。

Kraft Heinz / Apply Digital:TasteMakerでキャンペーン・商品コンセプト制作を短縮

Apply Digitalは、Kraft Heinz向けのAIマーケティングプラットフォーム「TasteMaker」で、Gemini、Imagen、Veo、Vertex AIを組み合わせ、ブランドや市場ごとにオンブランドなコンテンツを素早く作れる仕組みを構築しています。Apply Digitalの公開ページでは、商品コンセプトの立ち上げ期間が8週間から8時間に短縮され、2025年に6万時間以上を削減し、数百万ドル規模の価値を生んだと説明されています(Apply Digital / TasteMaker事例)。

Allegro / MetaRouter:ファーストパーティデータをAI-readyにして広告・パーソナライズへ使う

MetaRouterの事例では、ポーランド発の大規模マーケットプレイスAllegroが、自社のGoogle Cloud環境にMetaRouterを導入し、BigQuery、Vertex AI、Geminiとの連携でリアルタイムのAI-readyなデータストリームを整備しています。公開事例では、利用可能な広告データが30%増え、有料キャンペーンのコンバージョンが最大9.7%改善し、年間100万ドル超の広告費を回収したとされています(MetaRouter / Allegro事例)。

Grid Dynamics:検索理解とカタログ強化でSEO説明文と商品発見を改善

Grid Dynamicsの公開事例では、Fortune 100の食品サービス流通企業が、Vertex AI Search for CommerceとGemini・Imagen 3を使ったカタログ強化パイプラインを導入しています。メーカーの生データから構造化属性、SEO向け説明文、文脈に合う画像を生成し、対象カタログの商品詳細の完成度が1%未満から80%超へ改善しました。初期A/Bテストでは、ゼロ件検索が86%減り、カート投入率が11%増え、カタログ強化が80倍になったと説明されています(Grid Dynamics事例)。

図:Grid Dynamicsのカタログ強化パイプライン
1メーカー生データ

PDFや表のばらつきがある原文を取り込む

2属性を構造化

Geminiで規格・成分・用途などへ整理する

3説明文・画像生成

SEO向け説明文と文脈画像を作る

4検索・PDP反映

Vertex AI Searchで検索とCVRを同時改善

ECやBtoBカタログでは、記事より先に商品データの欠損を埋める方が、検索流入とCVRの両方に効きやすい設計です。

この事例は、SEO記事というより「商品ページの薄い情報をAIで埋め、検索と購買体験を同時に改善する」例です。ECやBtoBカタログサイトでは、記事制作よりも先に商品データ、属性、FAQ、用途説明を整える方が、CVRと検索流入の両方に効く場合があります。

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読み方
事例は『成果数値』よりも『業務の分解方法』を見る

Spotifyは広告プランを複数エージェントへ分解し、Berge & Meerは広告配信対象を予測スコアに分解し、Grid Dynamicsは商品情報を属性・説明文・画像に分解しています。自社で再現するときは、まず自社業務を同じ粒度まで分けることが出発点です。

Radisson Hotel Group:広告コピーと多言語展開

Radisson Hotel Groupは、BigQueryに統合した企業データと顧客データをもとに、Vertex AIで生成AIエージェントをトレーニングし、ホテルごとの特徴や見込み客に合わせた広告コピーを生成しています。公開事例では、広告経由売上が22%増加し、ROASが35%向上し、グローバルメディアチームの生産性が50%向上したとされています(Radisson事例)。

Churney:LTV予測で広告費を配分する

Churneyは、Vertex AI Workbench、Pipelines、Feature Storeなどを使い、顧客の将来価値や広告反応を予測する意思決定基盤を構築しています。公開事例では、Vertex AIのマネージドサービスにより週80時間のメンテナンス時間を削減し、モデル開発期間を6か月短縮し、ROASを最大50%改善したと説明されています(Churney事例)。

Sift Lab:セグメント作成とキャンペーン設計

Sift Labは、Vertex AIとGeminiを使って顧客データ、商品データ、キャンペーンデータを統合し、マーケターがセグメント作成やキャンペーン設定を高速化できる仕組みを提供しています。公開事例では、キャンペーン成果が最大200%向上し、分析とキャンペーン設定が10倍速くなり、ROASが40〜50%改善したと紹介されています(Sift Lab事例)。

Moglix:商品説明、検索、チャットボットがSEOとCVRに貢献

Moglixは、産業用品・BtoBコマース領域でVertex AIを活用し、統合検索、自動商品説明、顧客向け・社内向けチャットボットを実装しています。公開事例では、SEOトラフィックが4%増加し、コンバージョン率が15%改善し、OCRによる業務効率が50%改善したとされています(Moglix事例)。

03.事例から見える活用パターン

図:Vertex AIマーケティング事例の4象限

各事例を『制作工程を速くするか』『データ判断を高度化するか』で整理すると、自社で参考にすべき型を選びやすくなります。

制作工程の自動化

広告・キャンペーン制作

Spotify、Radisson、Kraft Heinz。プラン作成、広告コピー、商品コンセプトなど、人の制作・企画工程を短縮します。

データ判断の高度化

配信対象・予算判断

Berge & Meer、Churney、Allegro。行動データやCV履歴から、誰に広告費を寄せるかを判断します。

分析の民主化

自然言語でのマーケ分析

Elastiq / mktg.ai。BIを見る前に、キャンペーンやクリエイティブの成果を会話で探索します。

検索・SEO改善

商品情報・カタログ強化

Grid Dynamics、Moglix。商品属性、説明文、FAQ、検索ログを整え、検索体験とCVRを改善します。

パターン近い事例自社での始め方
広告制作・プランニングSpotify、Radisson、Kraft Heinz過去キャンペーンとブランド資料を整理し、媒体別のプラン案を作る
広告配信対象の予測Berge & Meer、Churney、Allegro顧客ID、閲覧行動、CV履歴をBigQueryへ集約する
アカウント別キャンペーン入力Algomarketing、Sift Lab企業属性、第三者データ、CRM履歴を使って訴求を作る
マーケティング分析Elastiq / mktg.aiクリエイティブ、広告、CV、売上データを横断で質問できる形にする
商品情報・SEO強化Grid Dynamics、Moglix商品属性、説明文、FAQ、画像、検索ログを整備する

04.自社に転用するときの注意点

事例を自社に転用するときは、「大企業だからできた」で終わらせず、同じ構造の小さな業務に分解します。Spotifyの事例なら、最初は全広告商品ではなく1媒体・1商材のプラン作成支援から始められます。Grid Dynamicsの事例なら、全商品ではなく検索流入やCVRに影響が大きいカテゴリから商品情報を強化できます。

注意点理由対策
成果数値をそのまま期待しないデータ量、広告費、既存業務の成熟度が違うため自社の現状値を測り、改善率ではなく改善幅で見る
入力データの権利と同意を確認する広告・CRM・顧客行動データには個人情報や同意範囲の問題があるため利用目的、保持期間、アクセス権限を整理する
人間レビューを残す広告表現、価格、競合比較、法務表現は誤ると影響が大きいため公開前レビュー、差し戻し基準、責任者を決める
出力先を決めるAIがレポートを出すだけでは施策が変わらないため媒体、CRM、MA、CMS、BIのどこへ反映するか決める

05.よくある質問

公開されている事例の成果数値はどこまで信用できますか?

成果数値は各社のデータ量、広告費、既存業務の成熟度に依存するため、自社でも同じ成果が出るとは限りません。本文では、出典を同じ段落に置き、公開情報で確認できる範囲に絞って整理しています。改善率をそのまま当てはめるのではなく、どの業務をAI化したか、どのデータを使ったかを見る方が実務に役立ちます。

広告・SEO・記事制作のどの事例を最初に参考にすべきですか?

広告費や顧客行動データがあるなら、Berge & MeerやChurneyのような予測モデル型が参考になります。商品点数が多いECやBtoBカタログなら、Grid DynamicsやMoglixのような商品情報・検索改善型が参考になります。キャンペーン企画や制作工数が課題なら、SpotifyやKraft Heinzのようなワークフロー自動化型が参考になります。

06.次に読むとよい記事

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澤田 翔太(Shota Sawada)
この記事を書いた人

澤田 翔太

株式会社クリプタル 代表取締役

1988年生まれ、慶應義塾大学卒。創業メンバーとして関わった株式会社セールスサポートを株式会社ネオマーケティング(東証STD 4196)に売却。株式会社クリプタルでも複数の事業立ち上げと売却を経験し、2022年9月には婚活・恋愛メディア「シッテク」「婚活会議」を株式会社ベビーカレンダー(東証GRT 7363)へ売却。現在はAI業務支援事業、TANTOU事業、グロースハック支援事業、メディア事業、SEOコンサルティング事業を手がける。