VOICEVOXとは
01.結論:VOICEVOXはどんな人に向くか
VOICEVOXは、無料で、かつ商用利用も含めてキャラクターボイスの読み上げを使いたい人に向いています。動画のナレーション、ゲーム実況の読み上げ、配信用のコメント読み上げなど、個人クリエイターの制作でよく使われています。まずは、代表的な用途ごとに向くかどうかを整理します。
| やりたいこと | VOICEVOXでの対応 |
|---|---|
| 無料でキャラクターボイスの読み上げを作りたい | ◎ 40以上のキャラクターから選べる。商用利用も可能(要クレジット表記) |
| スマホから手軽に読み上げを試したい | ○ 非公式のWeb版で対応。公式のスマホアプリは無い |
| 読み上げをアプリやツールに自動で組み込みたい | ◎ VOICEVOX ENGINEのAPIで対応 |
| 自分の声や特定の声を複製して使いたい | × ボイスクローニング機能は無い(ElevenLabs等が候補) |
| 多言語での音声生成・翻訳吹き替えをしたい | × 日本語中心のソフトで多言語対応は想定されていない |
ここから、VOICEVOXというソフトの成り立ち、使い方、そして特に間違えやすい商用利用のルールまで詳しく見ていきます。
02.VOICEVOXとは|開発の経緯
VOICEVOXは、個人開発者のヒホ氏が2021年8月に無料公開した、テキスト読み上げ・歌声合成ソフトです。ヒホ氏はドワンゴメディアヴィレッジで機械学習を使った研究開発に携わるエンジニアで、VOICEVOXは企業ではなく個人開発というかたちで運営され、開発の継続はGitHubでの公開開発とpixiv FANBOXを通じた支援で支えられています。
エディタ部分はElectronとVue、音声合成を行うエンジン部分はPython、コア部分はRustで開発されたオープンソースソフトウェアです。「ずんだもん」「四国めたん」「春日部つむぎ」「九州そら」のように、それぞれ声質もキャラクター設定も異なる40以上の音声から選んで読み上げができ、既定のキャラクターに加えて追加の音声ライブラリを個別に導入する運用も可能です。
03.主な機能|テキスト読み上げ・歌声合成
VOICEVOXの機能は大きく2つです。
- テキスト読み上げ:文章を入力すると、選んだキャラクターの声で読み上げます。アクセント・抑揚(イントネーション)を1文字単位で細かく調整できるのが特徴です
- 歌声合成(ハミング機能):メロディと歌詞を入力すると、話し声に近い自然さを保ったまま歌わせられます
特別なセットアップをせずインストールしてすぐに使える点、そしてアクセント調整の細かさが、動画制作や配信で選ばれる理由になっています。
04.使い方|インストールから音声生成まで
Windows・Mac・Linuxそれぞれのインストーラーが用意されている。CPU版とGPU版があり、GPU版は動作条件を要確認
40以上の音声から声質・キャラクターを選択する
読み上げたい文章を入力し、必要ならアクセント・間・スピードを調整する
生成した音声を再生して確認し、WAVファイルとして書き出す
インストール後は完全にオフラインで動作するため、通信環境を気にせず使えます。エディタの操作に迷った場合は、公式サイトのよくある質問に、辞書のカスタマイズや長文合成時の注意点などがまとまっています。
05.商用利用のルール|キャラクターごとの規約とクレジット表記
VOICEVOXを検討するときに最も間違えやすいのが、この商用利用のルールです。ソフトウェア利用規約では「商用・非商用問わず利用することができます」「VOICEVOXを利用したことがわかるクレジット表記が必要です」と定められていますが、これはソフト本体の規約です。
実際に生成した音声を使うときは、選んだキャラクターの音声ライブラリごとの規約にも従う必要があります。多くのキャラクターに共通する禁止事項として、政治活動・選挙運動での使用、特定の個人・団体への誹謗中傷、公序良俗に反する使い方が挙げられますが、クレジット表記の具体的な書式や、キャラクターになりきる活動(VTuber的な運用等)の可否は、キャラクターごとに異なる場合があります。
- ✓ 使用するキャラクターの音声ライブラリ規約ページを個別に確認する:ソフト本体の規約とは別に、キャラクターごとの規約ページが公式サイトに用意されている
- ✓ クレジット表記の書式を用途別に確認する:動画・音楽配信・アナウンスなど、用途によって推奨される表記が異なる場合がある
- ✓ 複数キャラクターの声を組み合わせる(モーフィング)場合は注意する:使用した全キャラクターの規約に従う必要があり、規約が異なるときはより制限の厳しい方が適用されるのが一般的な運用
キャラクターごとの規約を1件ずつ確認する手間を省きたい場合は、次章のVOICEVOX Nemoも選択肢になります。
06.VOICEVOX Nemo|シンプルな規約で使いたい場合
VOICEVOX Nemoは、キャラクターとしての人格を持たない読み上げ専用の音声ライブラリです。Nemoの利用規約では、「VOICEVOX Nemo」とクレジット表記すれば商用・非商用を問わず利用できるとされており、キャラクターごとの個別規約を確認する必要がありません。プレゼン動画やナレーションのように、キャラクター性を必要としない読み上げ用途であれば、規約確認の手間を減らせます。
07.スマホ・Web版で使う方法
VOICEVOX本体はWindows・Mac・Linux向けのデスクトップソフトで、公式のスマホアプリは提供されていません。スマホのブラウザから手軽に試したい場合は、第三者が運営する非公式のWeb版(voicevox.su-shiki.com)が選択肢になります。VOICEVOXとVOICEVOX Nemoの音声を使って合成しており、スマホ表示にも対応していますが、VOICEVOX公式が提供するものではなく、サイト自身も非公式のベータ版だと明記しています。端末やブラウザによっては正しく動作しないことがあります。継続的に業務で使う場合は、PCにインストールする公式版を使うのが確実です。
08.VOICEVOX ENGINEのAPI|他アプリへの組み込み
VOICEVOXの内部では、VOICEVOX ENGINEという音声合成エンジンがHTTPサーバーとして動いており、エディタ自身もこのAPIを呼び出して音声を生成しています。既定では自分のPC内の50021番ポートで動作し、テキストから音声データを組み立てるための情報を取得する/audio_queryと、実際に音声を合成する/synthesisの2つのエンドポイントを組み合わせて使います。PythonやNode.jsなどからHTTPリクエストを送るだけで音声生成を自動化できるため、大量のテキストを読み上げに変換するバッチ処理や、既存のアプリ・ゲームへの組み込みに使われています。API仕様は、エンジンを起動した状態でブラウザからhttp://127.0.0.1:50021/docsを開くと確認できます。
09.安全性|ダウンロード時の注意点
「VOICEVOXは危険なのでは」という検索が一定数ありますが、公式サイトからダウンロードする限り、開発の経緯が公開されたオープンソースソフトであり、危険なソフトではありません。ただし、Electronという技術で作られている挙動が一部のセキュリティソフトに「未知の挙動」と判定され、Windows Defenderなどで警告が出ることがあります。これはVOICEVOXに限った話ではなく、Electron製アプリ全般に起きうる誤検知です。
- ✓ 必ず公式サイトからダウンロードする:非公式の配布サイトには悪意のあるファイルが紛れているリスクがある
- ✓ セキュリティソフトの警告が出ても慌てず公式の説明を確認する:公式サイトはWindows Defenderの誤検知について案内している
10.他の音声生成AIとの違い
VOICEVOXは、無料でキャラクターボイスの読み上げを商用利用できる点が強みですが、ボイスクローニングや多言語対応は想定されていません。自分の声を複製したい、多言語での音声生成やダビングをしたい場合はElevenLabs、ナレーション動画をオフィスツールと連携して量産したい場合はMurfのように、目的によって向くツールは変わります。逆に「ずんだもん」のようなキャラクター性ではなく、「ゆっくり実況・解説」文化そのものの声質にこだわりたい場合は、VOICEVOXより古くからあるAquesTalk(通称ゆっくりボイス)が候補になります。ElevenLabs・Murf・Descriptを含めた目的別の比較は、次の記事で整理しています。
AI音声生成・TTS比較|ElevenLabs・Murf・Descript・OpenAI・国内ツール
AquesTalkとは|「ゆっくりボイス」の使い方・商用ライセンス・料金
11.よくある質問(FAQ)
VOICEVOXとは何ですか?
無料でテキスト読み上げ・歌声合成ができる音声合成ソフトです。個人開発者のヒホ氏(ドワンゴメディアヴィレッジ所属のエンジニア)が2021年8月に無料公開したオープンソースソフトで、「ずんだもん」をはじめとする40以上のキャラクターボイスから選んで音声を生成できます。
商用利用はできますか?クレジット表記は必要ですか?
できます。公式の利用規約では商用・非商用を問わず利用できるとされていますが、VOICEVOXを利用したことがわかるクレジット表記が必要です。加えて、生成した音声を利用する際は選んだキャラクターごとの音声ライブラリの規約にも従う必要があり、クレジット表記の形式や禁止事項がキャラクターによって異なる場合があります。使用前に該当キャラクターの規約ページを確認してください。
スマホで使えますか?
公式のVOICEVOXはWindows・Mac・Linux向けのデスクトップソフトで、公式のスマホアプリはありません。スマホのブラウザから使いたい場合は、第三者が運営する非公式のWeb版(su-shiki.com)が選択肢になります。ベータ版のため、端末やブラウザによっては正しく動作しないことがある点に注意してください。
VOICEVOXは危険なソフトですか?
公式サイトからダウンロードする限り、危険なソフトではありません。オープンソースで開発の経緯も公開されています。ただし、Electronという技術で作られていることなどから、Windows Defenderなどのセキュリティソフトが「未知の挙動」として誤検知することがあります。誤検知自体はVOICEVOXに限った話ではないため過度に心配する必要はありませんが、非公式の配布サイトからのダウンロードは避け、必ず公式サイトから入手してください。
VOICEVOX Nemoと通常のVOICEVOXは何が違いますか?
通常のVOICEVOXはキャラクターごとに規約が分かれているのに対し、VOICEVOX Nemoはキャラクターの人格を持たない読み上げ用の音声ライブラリで、「VOICEVOX Nemo」とクレジット表記すれば商用・非商用を問わず利用できるシンプルな規約になっています。キャラクターごとの規約を1件ずつ確認する手間を省きたい場合に向いています。
自分の声を登録して使うことはできますか?
できません。VOICEVOXはあらかじめ用意されたキャラクターボイスを読み上げに使うソフトで、任意の声を学習させるボイスクローニング機能は持っていません。自分の声や特定の声を複製して使いたい場合は、ElevenLabsやCoeFontのようなボイスクローニング対応のサービスを検討してください。
APIで音声生成を自動化できますか?
できます。VOICEVOXの内部ではVOICEVOX ENGINEというHTTPサーバーが動いており、テキストを送ると音声データを返すAPIを備えています。既定ではローカルの50021番ポートで動作し、Pythonやcurlなどから呼び出して音声生成を自動化できます。API仕様はエンジン起動中にブラウザで確認できます。
Macでも使えますか?
使えます。公式サイトによるとWindows・Mac・Linuxに対応しています。ただし、動作に必要なOSのバージョンや、GPUモードを使う場合の条件がOSごとに異なるため、インストール前に公式サイトのシステム要件を確認してください。
12.音声生成AIを業務に組み込む
VOICEVOXは無料で始められる一方、実際に業務で使うにはキャラクターごとの商用利用規約の確認、クレジット表記の運用、APIでの自動化まで含めた設計が必要になります。
弊社では、AIをフル活用した業務の仕組みづくりを、要件整理からツールの選定・実装・運用まで伴走して支援しています。音声生成AIをコンテンツ制作や業務のどこに組み込むかでお悩みの場合は、お気軽にご相談ください。
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